居抜き物件は初期費用を抑えられる優れた方法| でも、裏目に出ることもあるので要注意です

居抜き物件なら、お金をかけずに商売を始められる。でも、前のお店の印象や情報がマイナスに作用することもありそうです。

簡単な状況説明:居抜きでパン屋Bが出来ました

最近、近所のパン屋が閉店し、その後に居抜き1 の形で新しいパン屋が開店しました。話を理解しやすくするために、閉店したパン屋をA、新しく開店したパン屋をBとしておきましょう。

さて、閉店したパン屋Aは、どうやら店主が体調を崩したために閉店したようです。それなりに人気があった店なので、経営が行き詰まっての廃業という事でもなさそうです。

パン屋Bになって外観は多少変わっていましたが、使っている備品などは以前の店舗のものを引き継いでいるようです。だいぶ予算をかけずに開店したことでしょう。

開業資金が少なくて済むという、居抜きのメリットを十分に活かして開業したわけですね。

閉店したお店の情報に引きずられる

さて、この新しいパン屋Bですが、以前のパン屋よりも2割から3割程度値段が高いようです。例えば前の店で140円だったカレーパンが、180円になっていました。ちなみに、サイズは1周り小さめになったようです。

他のパンも、全体的にそんな感じです。率直に言って、個人的には、かなり価格が高くなったような印象を受けました。

とは言え、一般的なパンの価格と比較して、パン屋Bの価格が高いというわけではありません。もともと、閉店したパン屋Aの価格が、ちょっと安めだったのです。

パン屋Aは、コンビニのパンとパンの専門店の相場の中間位の価格帯という感じだったでしょうか。

全く違う店なので、価格設定が異なるのは当然です。それでも、割安だったパン屋Aとの比較で、かなり割高に感じたのです。

つまりパン屋Bは、居抜きによって初期費用をかけずに始めるという賢いはずの選択をしたはずでした。しかし、閉店したパン屋Aの価格戦略の影響を受けて、割高なパン屋というマイナスの印象を持たれてしまったわけです。

おそらくそこまでは考えなかったのでしょうが、ちょっと手痛いミスかなあという感じがします。

参照点の影響って大きいんだね

ところで、閉店したパン屋Aの価格って、行動経済学のプロスペクト理論でいう参照点ですよね。参照点というのは、要するに、消費者が損したか得したかを感じる基準になる基準点の事です。

顧客である私は、自分の中で勝手に、閉店したパン屋Aの価格を基準に考えていたのです。同じ場所にすぐ後にできたという状況から、参照点をそこに設定するのはとても自然な感覚だったのでしょう。

そして、ちょっとでも参照点より値段が高くなるとすごい損をした気になるのが、プロスペクト理論の教えるところです。確かに、その通りです。私の感覚ではパン屋Bの価格設定は、すごく高く感じました。

私のように感じた人は、当然ですが私だけではないでしょう。もともとパン屋だった場所に、違うパン屋が入ったのです。前のパン屋の値段は、いやでも意識してしまいますよね。

もちろん、地域にあるパン屋A以外のパン屋の価格を参照点にする人も、いないわけでは無いでしょう。それなら、特別に高いという印象を持たなかったかもしれません。

ただ、以前にパン屋Aに通う頻度が高ければ高いほど、今のパン屋Bの値段は気になるはずです。つまり、パン屋Bの価格が高いと感じるわけです。

そして、パン屋Aに通う頻度が高かった人は、同じ場所にあるパン屋Bで買い物をする可能性が大きいでしょう。

参照点を変えることはできるのか?

さて、パン屋Bとしては、どんな対策を取ればいいのでしょうか。

新しいパン屋Bができる分かりやすい対策としては、少し価格を下げることでしょうか。

値下げをすれば、以前のパン屋の価格との差が縮まります。ですから、割高感が軽減されるはずです。カレーパンの例でいうと、40円の値上がりと感じていたのが、30円の値上がりに感じるわけですね。

さらに言うと、値下げをすることで、値引き前の価格が参照点になる可能性もありそうです。

上にあげたカレーパンの例だと、例えば180円を170円にするわけです。そうすると、今までは前のパン屋の販売価格140円が参照点だったのが、値引き前の販売価格180円に参照点が移るという事も期待できそうです。

参照点が140円のままなら、値下げをしても30円の損でした。しかし、参照点が移ることで、むしろ客に10円得をしたと思わせることが出来るわけですね。

もっとも、安易に販売価格を下げるというのは、あまり良い事とも言えませんけどね。

値下げをしないで参照点が変わればもっといい

1個200円前後の単価の商品を売っているパン屋には、10円の値下げは大きな問題でしょう。ですから、当然ですが、できれば避けたいですよね。

そうなると、別の方法を使って参照点を下げることを考えた方が良いのかもしれません。とは言え、そう簡単な問題でもありませんけどね。

ただ、うまいこと工夫をすれば、値下げをすることなく売り上げを増やすことも可能でしょう。考えてみる余地はありそうです。

  1. い‐ぬき〔ゐ‐〕【居抜き】
    店舗・工場などを、設備・家具・調度などをつけたまま売り渡したり貸したりすること。居成り。「小料理屋を居抜きで買う」(デジタル大辞泉の解説) []

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