友人などと共同経営する場合は、経理の点でも扱いがとても難しくなります。
特に、個人事業主のまま共同経営するとなると、非常に難しいです。というのも、そもそも個人事業主の場合は、共同経営という概念が無いからです。
色々工夫して、体裁を整える必要があります。
個人事業主だとそれぞれが独立して確定申告しないといけない
具体的にどのような点が難しいのか、考えてみましょう。例えば、Aさんが友人のBさんと2人でショップを経営したとします。
この時、互いに個人事業主になるのなら、AさんBさん共に確定申告をすることになります。個人事業主の場合、2人の事業をひとまとめにして申告することは出来ないからです。
さて、ある年のこのショップの売り上げが2,000万円だったと仮定してみましょう。このとき、AさんはBさんそれぞれの売上高は、どのような形で申告されるのでしょうか。
こんなことを聞かれても、はっきり言って、どうしていいのか分かりませんよね。売り上げを2つに分けて、それぞれ申告していいなんてルールもありませんから。
経費に関しても同様です。ショップとして3万円の備品を買った時、Aさんの経費になるのかBさんの経費になるのかは、判断が出来ません。
つまり、個人事業主である限り、2人をオーナーとすることは出来ないのです。
AさんがBさんを雇う形にする
この問題に対処するには、いくつかの方法があります。一番やりやすいのが、AさんがBさんを雇う形にするという方法でしょうか。
この方法を採れば、売り上げの2,000万円はAさんの売り上げになります。また、経費の3万円もAさんの経費となります。そして、BさんはAさんから給与を受け取ることになります。
考え方としては、非常にシンプルで分かり易いです。
Aさんが一身に責任を負うことに
ただ、全く問題が無いわけではありません。例えば、事業を始めるにあたりBさんが500万円を出資していたとします。この場合、経理処理の上では、AさんがBさんから500万円借りているという処理をしないといけないでしょう。
また、ショップに関する何かの契約をするときも、Aさんのショップですから、Aさんが契約をすることになります。例えば、買い入れをしたらAさんの借金になります。
ということは、事業を行ううえでの責任は、Aさんに集中してしまいます。仮に事業が行き詰ったら、Aさんだけが不利益をこうむることにもなりかねません。Bさんはただの従業員と言う扱いですから、Aさんに解雇される形になるだけです。Aさんが自己破産でもしない限り、Aさんにお金を貸したという形は変わりません。また、ちゃんと雇用保険の手続きをしていれば、失業保険だってもらえます。
つまり、いざと言う時のリスクがぜんぜん違うのです。
会社を設立する
AさんとBさんを近い立場にしたいのなら、会社を設立すると言う手もあります。というか、本当の意味で共同経営にするのなら、会社組織にするしかないでしょう。こうすれば、出資金に応じた持分もはっきりするので、資本関係もわかりやすいです。
しかし会社を作ると、個人事業主の場合に比べて、コストがかかります。また、事務処理のための時間も増えるでしょう。
本業以外の部分で時間もお金もかかることになります。事業を始めたばかりの段階では、大きなデメリットだと言って良いでしょう。
このように、経理面での対応を考えた場合も、共同事業というのは難しいことがわかります。少なくとも、一人で起業する場合のように気楽な話ではありません。
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