個人事業主の中には、人を雇っても雇用保険に入る必要が無いと思っている人もいるようです。どうやら、個人として雇っている分には、雇用保険は無関係だと思っているようですね。
どんな理屈でそういう結論に至ったのかは、私には分かりません。しかし、この認識は完全に間違っています。
個人として雇おうが、企業として雇おうが、人を雇う以上は雇用保険に入らないといけないのです。また、従業員数が少ないからと言って、許されるものではありません。
個人事業でも雇用保険に入らないといけないという根拠
個人事業でも雇用保険に入らないといけないという根拠を、法律の条文で確認してみましょう。この事は、雇用保険法の第五条です。
(適用事業)
第五条 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。
ここで言う事業には個人事業も含みます。個人事業だからと言って雇用保険に入るのを逃れることが出来ないのです。
「ウチは個人事業だから雇用保険には入れない」なんて個人事業主に言われたと言うような話は、比較的良く聞く話でしょう。しかし、その理屈は、法律上は全く通らないのです。
手続きは個人事業主がする
ちなみに雇用保険は、事業所がハローワークに行って加入の手続きをします。労働者個人ではありません。ですから、個人事業主が人を雇う場合は、基本的には自分でハローワークに行って手続きをすることになります。
可能性としては、社労士に頼むことも考えられなくはありませけどね。事業を始めたばかりの個人事業主が社労士を使うケースは少ないでしょう。
学生のアルバイトだけなら雇用保険に入る必要は無い
繰り返しますが、人を雇ったら雇用保険に入るというのが原則です。ただ、実際問題として、人を雇っても雇用保険は関係が無い場合があります。
例えば学生アルバイトだけを雇っている場合は、雇用保険は関係無いケースが多いでしょう。なぜかというと、学生は基本的に雇用保険に入る事が出来ないからです。夜間の学校に通う学生は、雇用保険に入れるのですけどね。
あるいは、65歳以上の人を新たに雇う場合も必要なかったりします。また、一週間の労働時間が20時間未満の人(日雇い労働者を除く)も、原則として雇用保険には入れません。
これらの規定は、雇用保険法の第六条に詳しくかかれています。条文はちょっと複雑なので、自分が関係しそうだと思うときは、解説書などを読んで理解しておきましょう。
一応条文を紹介しておきます。ちょっと長いですけど。
(適用除外)
第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一 六十五歳に達した日以後に雇用される者(同一の事業主の適用事業に同日の前日から引き続いて六十五歳に達した日以後の日において雇用されている者及びこの法律を適用することとした場合において第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者又は第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
二 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(この法律を適用することとした場合において第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
三 同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
四 季節的に雇用される者であつて、第三十八条第一項各号のいずれかに該当するもの
五 学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 、第百二十四条又は第百三十四条第一項の学校の学生又は生徒であつて、前各号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者
六 船員法 (昭和二十二年法律第百号)第一条 に規定する船員(船員職業安定法 (昭和二十三年法律第百三十号)第九十二条第一項 の規定により船員法第二条第二項 に規定する予備船員とみなされる者及び船員の雇用の促進に関する特別措置法 (昭和五十二年法律第九十六号)第十四条第一項 の規定により船員法第二条第二項 に規定する予備船員とみなされる者を含む。以下「船員」という。)であつて、漁船(政令で定めるものに限る。)に乗り組むため雇用される者(一年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
七 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
法律はちゃんと守りましょう
雇っている人数が少ない場合、雇用保険の手続きは忘れられることも多いようです。あるいは、意図的に無視する人もいるようです。
しかし、法律で決まっていることですから、しっかり守るようにしましょう。労働者の人生も狂わすことにもなりかねませんから。
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