インターネットを使った情報収集は、とても便利です。特に便利なのが、公式の見解だけでなく、一般大衆の声も聞けるということでしょう。商品やサービスの評判を、簡単にチェックする事ができます。
でも、使い方を間違えると、誤った情報を信じてしまう可能性もありそうです。ネットで客観的な意見を多数聞いたつもりが、結局、誰かの主観だったりする事もあるのです。
そんな例を見つけたので、ご紹介したいと思います。朝日新聞の元記者が、ネット情報を読み違えて、結構恥ずかしいことを書いています。1
2014年の衆院選
2014年の衆院選は、与党の勝利で終わりました。自民党が少し議席を減らし、公明党が少し議席を増やしています。与党全体としての議席増はわずかですが、その前の選挙が大勝だったので、今回も大勝と言っていいでしょう。
このことに関して、記事を書いた元朝日新聞の記者は、ネットでの世論と反対の結果になったと感じているようです。
具体的にどう感じたのか、ちょっと引用してみましょう。
私が見ている「ネット世論」がその反対(自民党の退潮あるいは敗北)を希望あるいは予測していたからである。
自民が負けないまでも、議席を大きく減らすだろうと思っていたわけですね。これだけでなく、「ネット世論は選挙結果の予測には当てにならない」なんて事も書いています。
でも、実はこれって、この元記者の勘違いだと考える方が自然です。なぜかと言うと、ネット世論はどちらかと言うと、自民党支持だったからです。
ネット世論が自民党支持だったという事は、実は簡単に検証できます。Yahoo!によるビッグデータを使った予想で、自民の大勝は予想されていたのです。2
Yahoo!の予想だと、300議席を超える勝利を予想していました。それよりは少し少なかったですけどね。傾向としてはかなり近いものでした。
はっきり言って、この元記者は、全くネットリテラシーが無かったということでしょう。思い込みを元に記事を書いているのですから、記者としては零点です。
元記者が間違った理由
実は、この記者が間違った理由を想像する事も難しくありません。おそらくこの記者は、リベラル系の人が集まるサイトの情報を中心に見ていたのでしょう。
インターネットの場合、嗜好に合わせてサイトなどが細分化される傾向にあります。政治関連のサイトの場合、保守的な傾向の人が集まるサイトや掲示板と、リベラル傾向の人が集まるサイトや掲示板は、完全に分かれるでしょう。
またSNSの場合も、主義主張が近い人とつながる傾向があります。極左の人は、あまり極右の人とSNSでつながらないですよね。きっと。
この元記者は朝日新聞の出身なので、リベラルな傾向のサイトを中心に見ていた可能性が大きいです。また、SNSでつながっていたのも、リベラルな傾向の人たちなのでしょう。ですから世論を読み違えたわけです。
実は、この記者自身も、薄々このことに気づいているのかもしれません。その証拠に「私が見ている『ネット世論』」とわざわざエクスキューズを入れています。
ついでに言うと、新聞はネットと言うのを毛嫌いしていますし、下にも見ています。「あいつらが正しいわけは無い」と言うような思い込みもあったのかもしれません。
自分の見ている情報がすべてだと思わないことです
この元記者がしたような読み違えを、ビジネスの現場でしたら、結構大変なことですよね。大きな損失を被る可能性もありますから。
今回の恥ずかしい記事のように、一人が恥をかいておしまいというわけには行きません。ネットを見る場合は、自分が見ている情報は、偏っている情報である可能性があると認識すべきでしょう。
ネットの世論は、自分の主義主張に近いものになるということは、覚えておいていいかもしれません。ですから、客観的に調査する場合は、違う視点での調査が必要だと言うことです。
- 「ネット世論」を分析しても、選挙の結果は“逆”になる理由(Business Media 誠)2014年12月16日 [↩]
- ビッグデータが導き出した第47回衆院選の議席数予測(ヤフー株式会社)2014年12月12日 [↩]
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