フジテレビはマーケティングのノウハウをどこかに置いてきてしまったのかな?

マーケティングに強い業界と言うと、やはりテレビ業界でしょうか。実態はともかく、顧客の反応が掴みやすいと言う意味では、ノウハウが蓄積されているイメージはありますよね。視聴率と言う形で、すぐにフィードバックがありますから。

ところが、そんなテレビ業界でも、全く予想を外してしまう事もあるようです。2014年の大晦日放送のワンピースが、視聴率で惨敗したのです。平均視聴率で3.3%でした。1

これについて、経営判断やらマーケティングとしてどうだったのかという視点で、ちょっと考えてみましょう。

低視聴率なのは当然?

ネットを見ていると、「低視聴率なのは当然」という意見が多かったようです。これに関しては、私自身もそう思います。

フジテレビの特番がワンピースであることがアナウンスされた瞬間から、「視聴率は大丈夫なのか?」と思った人が多かったはずです。私自身もそう思いました。

でも、フジテレビの上層部が、このことに気づかないとは考えにくいですよね。一般視聴者が簡単に予想できるようなことを、経験がある彼らが予想できないとは考えにくからです。

想像するに、ワンピースの放送を決めた時点から、視聴率的に厳しいことは想像が出来ていたはずです。その代わりに、制作コストを抑える事を考えたのでしょう。

ただ、おそらく、その想定をさらに大きく下回るような低い視聴率だったのだとは思いますけどね。大雑把に言って、5%から10%の間くらいを見込んでいたのでは無いかと想像します。

普段のワンピースのレギュラー放送では、7%とか8%程度の視聴率を取っているようです。日曜の朝にこの視聴率ですから、大晦日でも酷いことにはならないと踏んでいたのでしょう。

レギュラー放送の視聴率から想像して、負けるにしてもある程度の視聴率は取ると考えても不思議ではありません。紅白とガキの使いが強い中なので、そのくらい取れれば御の字というイメージでいたのだと考えると自然です。低予算でも確実に一定の視聴率を取れるものを放送しようとしたわけです。

大晦日のアニメは録画してみる可能性が高い

それでは、フジテレビの読みは、何故外れたのでしょうか。

大晦日に放送するアニメなら、録画してみる可能性が高いですよね。長編ならなおさらです。生放送をしている番組が他にいくつかあれば、それをリアルタイムで見たいと思うのは自然な感情でしょう。

個人的には、惨敗の最大の原因は、ここにあるのでは無いかと思います。録画しておいて、三が日のどこか空いている時間で、家族で見れば十分ですよね。

映画は見続けないといけない

大晦日のテレビ視聴の特徴として、ずっとテレビを見続けるわけではないと言うのも視聴率の悪さに一役買っているかもしれませね。

大晦日のテレビ番組って、普段以上にザッピングをします。紅白を見ていていた人も、お目当ての歌手の歌が終わった瞬間にガキの使いに変えたりします。

でも、映画って、ザッピングに一番向かない番組でしょう。歌番組から映画に移って、また歌番組に戻るなんてありえません。

その点、紅白やガキの使いは、簡単にザッピングできますよね。短いコーナーの寄せ集めのような番組ですから。その意味では、非常に大晦日向きのコンテンツなのかもしれません。

テレビの制作者は、おそらく普段は、ザッピングをされないような番組を作ろうとしているはずです。それが裏目に出るのかもしれませんね。

結果論といわれればそれまでですが

まあ、こんなふうに分析したところで、結果論といわれればそれまでですけどね。フジテレビの幹部も、こうした傾向があることくらいは知っていたはずですし。知っていた上で、それでも大丈夫だろうと思ったはずです。

フジテレビとしてまずいのは、最終的に正しい判断が出来なかったと言う点では無いでしょうか。ネガティブな要素を過小評価した結果、今回のようなことになったと考えるのが自然です。

これって、放送局としてはかなり問題ですよね。

スポンサーはいくら出していたのかなあ

視聴者としては、フジテレビが低視聴率だったというニュースを見ても、「やっぱり低視聴率だったのね」と思うだけでおしまいです。でも、スポンサーとしてはたまったものではありませんよね。NHKの紅白に負けるのは仕方がないとしても、ガキの使いにも何倍もの差をつけられて完敗してしまったのですから。

そもそもフジテレビの広告料は他社よりも高いのだと言われています。それなのにこの視聴率だとしたら、スポンサーとしてはたまったものではありませんよね。

大晦日とか元旦だと、広告料は高いのかなあ。だとすると、とんでもないことをしてくれたという感じですね。

その他の批判

これ以外の批判として、「再放送だから駄目」だとか、「作画が酷い」などという意見もあったのだそうです。でも、これはあまり関係ない気がしますね。2

まず、作画が酷くて見るのをやめると言う人は、そう多くないでしょう。逆に作画がいいからぜひ見ようと言う人も少ないはずです。長期的なクオリティの管理としては必要なのでしょうが、今回1回にあてはめるのはちょっと違うかな。

「再放送だから駄目」と言う意見も、あまり関係ないでしょうね。テレビ番組で再放送の映画が流されるのは珍しいことではありません。でも、人気作品なら、視聴率はそれなりに取るようですからね。

何にしても見誤ったんだろうね

まあ、なんにしても、ここまでの低視聴率は想定していなかったのでしょうね。勝てないまでも負けない守りの戦いをしたのに、結果的に惨敗してしまったという感じです。

しばらくすると、社長のコメントが発表されるのかなあ。どんなコメントが出るのか、楽しみですね。

ちなみに、最初にあげた記事にも書かれていますが、大晦日と元日のフジテレビの視聴率は惨憺たるものだったのだそうです。フジテレビは視聴者のことを見えていないと言われても仕方がないのかも。昔はマーケティングに強い印象があったんですけどね。


  1. フジテレビ 大みそかに続き元日夜も最下位に沈む(デイリースポーツ)2015年1月2日 []
  2. ちなみに、アニメにおける作画というのは、原画と動画の総称を指すのだそうです。つまり、画が酷かったと言う意見があったわけです。 []

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