Twittet がBing の翻訳機能を搭載したようです。これにより、外国語のtweet を翻訳して読むことが可能です。1
ただ、この翻訳機能は本当に役に立つのでしょうか。かなり疑問があるのも事実です。
翻訳ソフトの質は上がっているようですが
ここ数年、機械翻訳の精度は、かなり上がっているようです。しかしそれは、文法的に正確で複雑でない文章を翻訳する場合に限ります。ちょっと複雑になると、とたんに役に立たなくなってしまいます。
tweet というのは、口語的な表現がされることが多いです。これって、機械翻訳が分野な形なんですよね。特に日本語の口語の場合は、主語が省略して書かれる事が多いです。これがあるため、翻訳ソフトが文章の構文を理解できないのです。
こういう状況なので、翻訳機能が付いたところで、役に立つのか疑問があるのは事実です。
実例を見てみましょう
芸能人のtweet を例に、どんなふうに翻訳されるのか見てみましょう。
バカリズムが次のようなtweet をしています。
いらこん生放送を観てくれたみなさんありがとう。
ピザ食べたくなったね。
また次回!
「いらこん」という生放送の番組の終了後のtweet ですね。まあ、ありがちなtweet です。日本人なら誰でも意味が分かりますよね。
これを英語に翻訳すると、次のようになります。
Not from thank you everyone who watched the broadcast konn生. Pizza craving for it. Also next time!
まず、もともとのtweet には主語がありません。ですから、構文を正しく理解することができないようです。完全に意味が通じない英語になっています。
また、「いらこん」という固有名詞や「生放送」という名詞が理解できていないようです。「konn生」というふうに訳されていることから想像するに、たぶん「いらこん生」と「放送」という区切りだと解釈したのでしょう。結果的に変な訳になっていますね。
例えばこれが、「番組を見てくれてありがとう」なら、もう少し意味が通じる役になります。実際Bing の翻訳を使ってみると、次のようになります。
Thanks for watching the show, thank you
後ろの「, thank you」が意味不明ですが、まあ、理解はできますよね。
このように、機械翻訳を使う場合には、それを前提に気を使って文章を書く必要があります。翻訳ソフトが訳しやすい形で文章を書いてあげないといけません。そうでないと、構文の分析が難しいのです。
状況次第では使えるかもしれない
もちろん状況次第では、この翻訳機能が使い物になるかもしれません。例えば、英語から日本語に直すのなら、日本語を英語に直すのに比べれば、問題は小さいでしょう。もちろん、スラングを正確に訳せるかというあたりは気になりますけどね。
また、硬い日本語なら、比較的正確に英語に直せる可能性が大きいです。新聞社のサイトなどからの情報収集には使えるでしょう。ただ、新聞記事のような省略があると、翻訳が難しい事も多いです。
例えば、「外相 サウジアラビア国王死去で弔問」というNHKオンラインのtweet は次のように翻訳されました。
Mourners in the death of Foreign Minister Saudi Arabia King
日本語が分かる人なら「外相」が主語なのは明らかですよね。でも、記事のタイトルでは格助詞が省略されることが多いので、翻訳ソフトはどれが主語か分からないのです。
Google翻訳の方が性能がいいようです
ちなみに、翻訳ソフトを提供しているサイトは、当然ですが、Bing だけではありません。有名なところでは、Google翻訳がありますね。Google翻訳の性のはBingと比べてどうなのでしょうか。最初のバカリズムのtweet を翻訳してみましょう。
Thank you everyone who watched the live broadcast Irakon.
I was tempted to eat pizza.
The next time!
これを見ると分かるように、かなり精度が高い翻訳ができているようです。最初の文は、おそらく正確に英語のネイティブに理解してもらうことができるでしょう。「いらこん」が固有名詞であることを分かっています。
2つ目の文は、ちょっと難しかったようです。なぜかというと、もともとの文の主語があいまいだからです。
多分、バカリズム自身は「本人と視聴者の両方が食べたくなった」という趣旨で書いているのでしょう。でも、そうなると、英語で完全に同じような表現は無さそうです。
ですから、おそらく人間が訳す場合はyou が主語になるのでしょうね。そして、「食べたくなったでしょ」みたいなニュアンスにしてしまうのだと思います。そして最後に「僕もです」と付けるのかな。
でも、主語以外の部分は、意味が通る形になっています。Google とBing でかなり性能の差がありそうですね。
これだけ性能に差があるのなら、Google翻訳を使えばよかったと思うんですけどね。まあ、性能だけで決まるわけでも無いのでしょうけど。Bing だと当面使いようがありません。
- Twitter、外国語ツイートの翻訳機能(Impress Watch)2015年1月23日 [↩]
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