マスコミの印象操作には気をつけましょうね| 本当は少数意見なのに、そうでは無いように見せるケースも多いようです

私たちが情報収集をしようと思ったときに、まず利用しようと思うのがマスコミの情報でしょう。確かに手軽に大量の情報が手に入りますし、基本的には裏を取っているでしょうから質の面でも信頼できそうです。

でも、マスコミの情報って、かなり注意が必要です。嘘とは言いませんが、意図的な印象操作が行われている事も多いからです。

確かに「賛否両論」でしょう

一番良く使われる手法が、両論併記をすることでマイナーな意見にも説得力があるように見せかけるという手法です。これは、本当によく見かけます。

Aという圧倒的に支持を集めている意見を紹介した後に、BというAに対する反論を載せます。世間でも専門家の間でもAの方が圧倒的に支持を受けていたとしても、Bの意見にも聞く価値があるのでは無いかという印象を与えることができるのです。あるいは、AとBの意見が同価値であるかのような印象を与えられるのです。

そしてBという意見が、実は情報を発信しているマスコミ自身の意見だったりすることも多いです。自分たちの意見をメジャーな意見と同価値に見せるのに使われるわけですね。

例えばこんな感じ

最近の事例を一つ紹介しましょう。杉本祐一というカメラマンがシリアに渡航しようとしていました。イスラム国に関する取材を試みたようです。

これに対して、外務省はパスポートを取り上げるという決断をしました。そのことに対して、次のような見出しの記事が見られます。

  • 「渡航の自由」か「邦人保護」か 写真家の旅券返納命令
    朝日新聞デジタル 2015年2月8日
  • 政府の「シリア渡航阻止」に賛否両論 「事前に言う必要あったのか」の声も
    J-CASTニュース 2015年2月8日

こんなふうに、外務省の対応が正しいという意見と、否定的な意見を並べて書くわけです。

私が受けている印象としては、今回の件では、外務省の対応を支持する意見がかなり多いように感じます。でも、こんなふうに賛否両論あるかのような書き方をすることで、外務省に批判的な人も同じくらいいるような印象が与えられるのです。

とくにJ-CASTニュースのような「賛否両論」という書き方をすると、五分五分な意見という感じがしますよね。でも本当は、賛否の比率が1対9でも、賛否両論と言えるのです。ですから、J-CASTニュースが嘘をついているとは言いません。ただ、読み手に与える印象は五分五分に近いのでは無いかと思うのです。

外務省によるパスポートの取り上げがいいかどうかは別にして、それに批判的な意見がかなりあるように感じますよね。でも、調べてみると、反対意見はごく少数なのかもしれません。繰り返しますが、少なくとも私の印象としては、外務省に批判的なのは少数意見だと感じます。

少数意見を取り上げる印象操作

もっと露骨なケースになると、マイナーな意見だけを記事にする事もあります。マイナーな意見を繰り返し紹介することで、一定の影響力がある意見であるという印象を与えるわけですね。

これもイスラム国関連の報道を使って説明しましょう。二人の人質が取られていたときに、安倍首相が辞任すべきだとか、安倍首相に問題があるというような報道が盛んにされました。イスラム国の立場を考えて行動すべきなんていいだす人もいたようです。

野党の人たちは、揚げ足取りの一つとして、こうしたことをしているのでしょう。しかし、報道のかなりの部分をこうした記事が占めることから、安部首相の対応に批判的な人が相当多いような印象を受けた人もいるはずです。

しかし、実態は全く逆だったようです。人質事件後の内閣支持率は上昇し、逆に不支持率は下がっています。また、人質事件に対しても、適切だったと考える人が多いようです。1 つまり、マスコミで大きく取り上げられた安倍政権に批判的な意見は、実は少数意見だったということです。

少数意見を少数意見と知らせずに報道する

今回はたまたま分かりやすいニュースがあったので、外交の分野に関するニュースを例にとりました。しかしこうした手法がとられるのは、外交の分野に限定されません。他の政治の分野でも経済の分野でも、似たようなことがされるケースは少なくないのです。

ですから私たちとしては、マスコミの報道と言うのはこういうものだという認識をもってニュースに接する必要があります。ニュースに接するときには、「本当にそう思っている人はどの程度いるのか?」ということを意識する必要があるでしょう。

事例:9人の集会を大々的に取り上げ、数万人の抗議活動は黙殺

マスコミの印象操作の事例をもう一つ。

先日Yahoo!ニュースを見ていたら、埼玉新聞の「教え子を戦場に送らない 飯能の教職員ら集団的自衛権撤回アピール」という記事を見つけました。2 記事の内容は、「『飯能市教職員・退職教職員有志アピールの会』が集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回などを求めてアピール」をしたというものです。まあ、記事のタイトルどおりの内容ではあります。

ちょっと大きな独り言レベルだよね

ただ、この記事には、胡散臭いところが一ヶ所あります。実は、実際に集まったのはたったの9人なのです。この記事のタイトルだけ読むと、かなりの数の教師が集まって抗議デモか何かをしたような印象を受けますよね。でも、たった9人のアピールに過ぎないのです。

これは、新聞社がよく使う手の一つのようです。タイトルの中に意図的に規模を入れないことで、大きな反対活動が行われたような印象を与えるわけです。

はっきり言って、たった9人でのアピールなんて、ちょっと大きな独り言ってレベルですよね。率直に言って、この活動を取り上げる意味が分かりません。

新聞社の主張に近かったから取り上げられたのでしょう

おそらく違う抗議内容だったら、取り上げられもしないでしょう。抗議している内容が新聞社の意向に沿ったものだったので、敢えて取り上げられているとしか思えません。

放送法などの縛りが無い新聞社には、テレビのような公平性は求められていないのかもしれません。でも、さすがに「ちょっとやりすぎじゃないの?」という印象は拭えません。

この新聞社が、このアピール活動を、ことさら大きく伝えたかった別の証拠もあります。たったこれだけのアピールに対して、759文字も使っているのです。すごい長い記事ではありませんが、それなりの文字数を裂いて記事にしているわけです。

自分たちの主張に近いものだけを取り上げることで、読者に錯誤をさせるのがやり口

自分たちに都合が良いものは大きく伝え、そうでないものは見てみぬフリをする。新聞社のスタンスと言うのは、大体こんな感じでしょうか。

例えば、数千人が集まったとされる2011年のフジテレビへの抗議デモを伝えたマスコミは、あまり多く無かったです。その一方で、9人でのアピール活動は、大々的に取り上げるわけです。

こうすることによって、読者には誤った認識を与えることが可能です。マスコミが報じないことで、フジテレビのでもがあったことすら知らない人も多いでしょう。その一方で、集団的自衛権に関してはすごい関心事であると錯覚する人も出てくるわけです。


  1. 内閣支持上昇58%、人質対応を評価…読売調査
    読売新聞 2月7日 []
  2. 教え子を戦場に送らない 飯能の教職員ら集団的自衛権撤回アピール
    埼玉新聞 5月14日 []

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