中小企業や個人事業主などでも、新たな市場に参入しようとすることはありますよね。特に起業した直後は、どこも新規参入です。
こんなときに問題になるのが、価格設定をどうするかです。
スキミングとペネトレーション
一つの考え方は、高めの価格を設定するという方法です。販売価格を高くして、利益率を大きくするのです。この方法をスキミング戦略といったりします。
もう一つのやり方が、敢えて低めの価格にして、大量販売を目指すという考え方です。一気にシェアを取ってしまおうという考え方ですね。この方法をペネトレーション戦略と言います。
規模が小さい企業の場合は、能力的な問題がありますから、ペネトレーションは採り難い戦略でしょう。まあ、知識としては、2つの方法があることくらいは知っておいてもいいのでは無いでしょうか。
車の例が分かりやすい
このスキミングとペネトレーションの例としてよく使われるのが、自動車の歴史です。
最初、自動車と言うのは、受注生産のような形を取るのが一般的でした。金持ちを対象に、高い価格で販売していたのです。利益率も高く設定されていました。いわゆるスキミング戦略ですね。
しかし、フォード社がT型フォードを安価な価格で発売し、自動車と言うのは一気に普及することになりました。これはペネトレーション戦略といって良いでしょう。フォード社は、一時は5割以上のシェアを持っていたそうです。
プロダクトライフサイクルと関連がある
スキミング戦略を採るべきか、ペネトレーション戦略を採るべきかは、実は以前ご紹介したプロダクト・ライフサイクル1 とも関連があります。
プロダクト・ライフサイクルというのは、全く新しい商品が生み出されてから消滅するまでのサイクルのことですね。最初はなかなか売れませんが、突然一気に売り上げが伸びる時期が来ます。その後売り上げが安定し、徐々に衰退していくというサイクルになるのが一般的です。
スキミング戦略は、このサイクルの初期にあたる商品では有効でしょう。まだ商品自体が良く知られていない時期に、高い価格で販売するのです。ポケベルから携帯電話(いわゆるガラケー)に移行するときも、こんな感じでしたね。最初は携帯電話の価格は、かなり高かったです。
ペネトレーション戦略は、その次の成長段階で使うと相性がいいようです。売り上げが伸びる時期に、価格を下げて一気にシェアを取ってしまおうという考え方です。これも携帯電話の例を思い出してみると、成長期には形態の本体価格を0円とか1円とかにして、シェアを取ることを考えていました。
ちなみにその後、携帯電話はガラケーという蔑称で呼ばれるようになり、スマホにシェアを奪われていきます。プロダクト・ライフサイクルでいうところの、衰退期に当たると考えられます。
こんなふうに、スキミング戦略とペネトレーション戦略は、プロダクト・ライフサイクルの考え方と非常に相性が良いのです。
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