竹書房が雑誌の懸賞で、当選者数を水増しをしていたのだそうです。実際の当選者数よりもかなり多く当選するという表示をしていたようですね。
報道によると、7誌で行った計77回の懸賞企画で、1,000人以上の水増しをしていたそうです。具体的には、実際には327人しか当選者がいないにもかかわらず、1,368人が当たると表示していたのです。誌上で発表した当選者名には、架空の名前を使っていたのだとか。1
この数字って、かなり酷いですよね。実際の当選者数の4倍も多く表示していたわけですから。水増しなんてレベルではありません。
懸賞を増やす程度で読者数が増えるのかなあ?
それにしても、何でこんなくだらない事をしたのでしょうか。
今回のようにバレたとしても、確かに法的なお咎めは大したことは無いのでしょう。でも、イメージの低下は避けられないですよね。読者を騙したわけですから。そんなリスクを負ってまで、読者に嘘をつくメリットはあったのでしょうか。
常識的に考えると、懸賞の当選者水増しをするメリットは、読者数の増加ですよね。懸賞が豪華なほうが、読者数が多いと考えられます。
でも、懸賞がちょっと豪華になる程度で、どの程度の売り上げアップにつながるかは良く分かりません。少なくとも、私自身は、懸賞目的で雑誌を買ったことがありません。懸賞だけで本当に売り上げが増えるかどうかは良く分かりません。
もしかしたら、クイズ系の雑誌だと、懸賞の影響が大きいのかもしれませんけどね。クロスワードパズルとか数独などの雑誌だと、問題を解いて懸賞に応募という人も多いでしょう。
でも今回は、マンガ雑誌が中心のようなのです。はたして、マンガ雑誌でそんな効果があるのでしょうかねえ。
もちろん出版社としても、あるていどは懸賞と雑誌の売り上げの関係を調べているでしょう。その結果、懸賞のうそ情報を載せるメリットがあるという判断をしたのかなあ。
あるいは、近年はインターネットの影響か、雑誌の発行部数が大幅に減っているようです。そういうのを食い止めるために、嘘の情報を流していた可能性もありそうですね。
何にしても、感覚的には理解し辛いです。
失ったものは大きそうです
ところで、今回のような偽装をすることで、竹書房としてはどの程度の節約ができたのでしょうか。逆にどんなダメージを負ったのでしょうか。
この手の懸賞は、基本的に企業からの提供が多いのでしょう。プロモーションの一環として雑誌に提供するわけです。それを仮に竹書房が自腹で購入していたとして検証してみましょう。
上に書いたように、今回の事件では、およそ1,000件の水増しが行われています。懸賞の商品を一つ仕入れるのに平均1,000円かかったとすると、竹書房としては100万円の節約をした事になりますね。景品一つを数千円だとしても、数100万円程度です。要するに、たった100万円オーダーの額をケチるために、こんなリスクをとっていたわけです。
逆に今回の件で竹書房が失った信頼は、相当大きいはずです。やっぱり、マスコミ各社で一斉に報じられるのが痛いですよね。ネガティブな内容の記事が、一般紙にもスポーツ紙にも週刊誌にも掲載されています。その上、テレビのニュースでも流れたようですからね。
失った信頼と比較すれば、節約したのが100万円オーダーでは割りにあわないですよね。同じような量の広告を出そうと思ったら、桁が1つか2つ違うでしょうし。しかも、報道された情報というのは、広告よりもインパクトがあります。
バレた時のリスクの大きさを考えれば、割りにあわないギャンブルなのは、雑誌の担当者も分かっていたはずです。バレやしないとたかをくくっていたのでしょうか。
何でバレたのだろう
今回の件で一番不思議なのが、なぜ当選者数を偽っているのがばれたのかという点です。
おそらく竹書房は、懸賞の当選者数水増しなんてバレるはずが無いと思っていたはずです。だから、こんな安易な方法を採ったわけですよね。
こんな偽装は下っ端の独断でできるはずがありません。あるていど地位がある人がゴーサインを出していたはずです。実際、複数の雑誌で行われていたということですから、編集長よりは上の地位の人が指示をしているのでしょう。
でも、出版社に勤めるそんな地位の人間が、発覚したときのデメリットを理解していないはずはありません。やっぱり、発覚は無いという判断があったのでしょうね。それなのに、バレてしまったわけです。水増しを指示していた人にとっては、そうとう予想外の発覚だったに違いありません。
そもそもお役所がチェックしようと思っても、そこまではチェックできないはずですよね。もちろん、財務諸表を読み込めば、全く不可能というわけではないのでしょう。でも、そこまで暇では無いでしょうし。
となると、内部告発でもあったのかなあ。そのくらいしか考えられませんね。編集の担当者が読者を騙すのに耐えられなかったのかな。
他にもやっているところはあるでしょう
この手のごまかしは、当然他社でも行われていると考えた方が良いでしょう。発覚する確率が低いと思っているはずですから。実際に、秋田書店も同じようなことをやっていましたしね。
ちなみに竹書房の場合は、秋田書店の水増しが発覚した段階で自らの水増しも止めています。発覚することは無いとたかをくくっていたのに、急に慌ててやめたわけですね。
小さい出版社も含めれば、同じことをしているところは少なくないでしょうね。今後も似たよな事例が出てくるかもしれません。
- 竹書房に措置命令=読者懸賞で当選者数水増し―消費者庁
時事通信 2015年3月13日 [↩]
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