行動経済学で知られている事実

行動経済学は発展途上の学問で、現段階では体系化されていません。ただ、ここのトピックの中には私たちがビジネスを行う上で参考になるものが多いです。

保有効果

人間というのは、自分が持っているものに高い価値があると感じてしまうようです。これを保有効果と言います。

これは、次のような状況を比較してみると、わかります。

状況(1):あなたは、新品のマグカップを持っていたとしましょう。これにいくらなら譲っても良いか、値段をつけてくださいと指示されたとします。この値段をA円としておきましょう。

状況(2):全く同じマグカップに関して、あなたはそれをもっていなかったとします。それを購入するとしたら、いくら出すかを考えるように指示されたとしましょう。この値段をB円とします。

この2つの状況では、全く同じものに対して値段をつけるという事をしています。ですから、合理的な判断をすれば、同じ価格が付くはずですよね。しかし実験をしてみると、売値の方がかなり高くなるそうです。「A>B」ということですね。

しかもこの金額は、かなり大きく違うようです。

現状維持バイアス

大きなデメリットでもない限り、人間はあまり変更を望まない傾向があるようです。これを現状維持バイアスと言います。

例えばあなたが、1年契約の保険に入っているとしましょう。そして1年経過後は、契約解除の届出をしない限り、契約が自動で更新されるとします。この場合、多くの人が契約解除の見直しすらしないまま、自動更新することを選びます。つまり、現状維持を選んでしまうわけです。

アンカリング効果

交渉のときに最初の提示価格などの特定の情報をあまりにも重視してしまう効果のことを言います。

例えば、海外旅行先の市場で、お土産になりそうな工芸品を見つけたとします。そして、その価格を店主に尋ねたところ、日本円で1万円程度だといわれたとしましょう。こうした場合、この後の価格交渉は1万円を念頭に行われることになります。例えば旅行者が値引きを求めるとしても、1万円の3割引の7,000円とか、半額の5,000円といった数字を出してくるはずです。

ちなみに、アンカリングのアンカ碇のことを指します。碇でフネを固定するように基準を定めてしまうので、アンカリングというのだそうです。

代表性ヒューリスティック

ウィキペディアによると、代表性ヒューリスティックは「特定のカテゴリーに典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセスをいう。」と定義されています。

ちょっと分かり辛い説明なので、次のような問いについて考えてみましょう。コインを投げて裏表をチェックするという試行を5回2セット行ったとしましょう。その結果、次のような結果が出たとします。

1回目:表裏裏表裏
2回目:表表表表表

さて、1回目と2回目のどちらの方が起こる確率が高いでしょうか。こういう問いに対しては、1回目の方が発生確率が高いと思う人が多いようです。

しかし冷静に考えてみると、1回目も2回目もどちらも発生確率としては同じなのです。どちらも2の5乗分の1となります。裏がでる確率も表が出る確率もそれぞれ2分の1ですから、どちらの場合も等しく起こりうるわけです。

ちなみに、代表性ヒューリスティックの例としては、リンダ問題というのが有名だそうです。

人は自分を過大評価する傾向がある

一般的に、人間というのは、自分を過大評価する傾向があるのだそうです。ある調査では学生に対して、自分はクラスの中で真ん中よりも上の能力があるかどうか聞いたそうです。その結果、半数を大きく越える学生が、自分の能力は真ん中よりも上だと答えたのだとか。

損失回避性

人間というのは、利得よりも損失を過大に評価する傾向があるのだそうです。ですから、利益を得ることよりも損失を回避する方を重要だと考えるようです。

例えば、こんな例を考えてみましょう。タンスの隅から500円玉が出てきたらちょっと嬉しいですよね。逆に、500円玉を落としてしまったらちょっと悔しく感じるでしょう。ただ、この嬉しさと悔しさを比較すると、500円を落とす悔しさの方が大きいと感じる人が多いのです。

損失の方が嫌なので、利得を得ることよりも損失を回避することを優先する人が増えるわけですね。

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