アメリカでチップが要らない飲食店が増えてきているらしい

アメリカでチップが要らない飲食店が増えてきているようです。フジテレビが伝えています。1

もともとファストフード店などではチップは要らなかったのですが、従来ならチップを払うことが前提だったような店でもチップを受取らないケースが出てきたのだとか。

チップを前提としたウェイターやウェイトレスの給与

そもそも、アメリカのチップに関するアメリカのシステムって、かなり変なんですよね。例えば、レストランのウェイターやウェイトレスは、チップを前提にした給与体系になっているのです。

時給がすごく安く、その代わりにチップを貰うというイメージなのですね。だから、チップを払わない客がいると、揉める事も多いのだとか。

それなりの高級店で、それなりのサービスが提供されているのなら、チップを払うのも分からなくはありません。でも、大衆的な店で普通に食事を出されただけでチップを払わないといけないって、釈然としませんよね。少なくとも日本人の感覚では。

アメリカは合理主義の国だなんて言われますが、チップに関しては日本の方が合理的なのです。実際、チップの仕組みが合理的でないと思っているアメリカ人も、少なくは無いようです。

欧米の国でもチップが不要な事も多い

ちなみに、「欧米の国だとチップが必要」というイメージを持っている人もいるかも知れませんが、そのイメージは必ずしも正しくありません。例えばフランスのレストランだと、高級レストラン以外ではチップは不要です。イタリアだと日本と同じように、料理代金に含まれていることが多いようですね。

また、アメリカのようにチップを取るような国でも、チップの相場はアメリカに比べて易いようです。ウィキペディア情報だと、アメリカのレストランでは合計金額の15%から20%が目安なのだそうです。これはヨーロッパの国々の相場よりもはるかに高いでです。

これに関しては、フジテレビのニュースでも、次のような表現がされています。

店長が、「全ての料金にサービス料が含まれています」と説明すると、客は「それはチップがいらないってこと?」と尋ねた。
そして、店長は「いりません。ここがパリやロンドン、そして日本だと思ってください」と語った。

アメリカ人自身も、欧米の国と比較してもチップを取りすぎだという自覚があるようです。

アメリカのレストランでもチップを取らない店が出てきている

で、ご紹介したニュースの話に戻るわけですが、アメリカでもチップを受取らない店が増えてきているのだそうです。この習慣ですが、元々は、日本食のレストランが始めたのがきっかけなのだとか。

そもそも、アメリカでのチップ不要のレストランは、日本食レストランが始めたのがきっかけだったということで、最近では、ニューヨークやワシントンでも増えてきている。

こうした流れは、日本人には歓迎できる話ですよね。分かり辛いチップの習慣に悩まされずに食事ができるのは、旅行者としてはとても助かります。食事をするたびにいくら払うのか考えるのは、はっきり言って面倒ですからね。

フジテレビが伝えるように、こうしたシステムをとるところが増えてきのなら、客の反応も良かったという事なのでしょうね。そうでなければ、まねしてみようとは思わないはずですから。

チップ不要がスタンダードになるかは未知数

ただ、チップ不要のレストランがスタンダードになるかと言われると、ちょっと疑問な点もあります。というのも、上に書いたように、アメリカのレストランではチップがあることを前提に給与体系が決められているからです。

給与のシステムを弄るとなると、従業員との間に軋轢が生まれる可能性もありますよね。従業員にとっては、収入減につながる可能性がありますから、重大事項です。

例えば、給与として額を決められてしまうと、忙しい日でもたくさん稼ぐことができなくなってしまいます。これにを不公平だと感じる人もいるでしょう。

チップ不要の方が顧客満足度が高ければ、レストランとしてはチップ無しのシステムを採用したいのでしょうけどね。そう簡単にいくとも思えません。

新しくできるレストランならチップ無しというシステムも採用しやすいでしょうから、そういうところから徐々に変わっていくのでしょうね。まあ、時間がかかる話なのだとは思います。

従業員にとってのメリットをどうやって打ち出すのか

既存のレストランをチップ無しの店にするとしたら、給与が安定したシステムだという事を従業員に納得させるのが手っ取り早いのでしょうか。

チップというのは、店の売り上げに大体比例するシステムです。ということは、客の入りが少ないレストランだと、もらえるチップも少なくなってしまいます。また、時期によって、収入の増減も大きくなるでしょう。これは従業員には大きなデメリットです。

料金を上げることができるのか?

チップの廃止が難しいと思われるもう一つの理由が、チップをやめる分の値上げを店ができるのかという点でしょうか。

例えば、現在の価格にチップの相場である15%から20%を上乗せした価格を設定できるかどうかです。これって、商売をする側からすると、ちょっと難しいのでは無いかと思うのです。

結果的に支払う額がそんなに変わらないと分かっていても、見た目の料金が上がるのは抵抗を感じる人が多いでしょう。他とえば9ドル50セントだったメニューが11ドルになったりするのです。感覚的にかなりの値上げがされたと感じる人は多いでしょう。

これは日本の消費税でもよく分かります。日本で消費税が導入されるときに、、見た目の値上がり感をなくすために、小売系の団体は外税表示を認めさせようと働きかけていました。

現状維持バイアスが働くのでチップ無しは導入しづらい

行動経済学でいう現状維持バイアスが働くから、チップ無しの仕組みの導入は難しいという説明もできそうです。現状維持バイアスというのは、簡単に言うと、結果に大きな差が無いのなら現状維持を望むという人の性質のことです。

チップ無しを導入することで、売り上げが大きく上がると分かっているのなら、積極的に導入する店も増えるでしょう。でも、それほど大きな売り上げアップにつながらないと思えば、積極的な変更は望まない人が多いわけです。

以上のように考えてみると、やっぱり、変わっていくとしても徐々になのでしょうね。


  1. 「チップ」をめぐり、アメリカで変化の兆しが出ています。
    フジテレビ系(FNN) 2015年4月26日 []

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