日経新聞がガラケー終了を報道| 「ガラホがあるから大丈夫!」は本当か?

日本経済新聞によると、いわゆるガラケーの製造が2017年以降に中止になるそうです。1

この報道がどこまで信頼できるかは分かりませんが、近い将来そういう事が起こっても、それほど不思議では無いでしょう。メーカーとしては、ガラケーとスマホという、同じようなものを2つ製造するのは重荷でしょう。

しかもガラケーの方は、長期的に見れば、シェアを落としていくのが確実だと考えられます。現在の出荷台数のシェアを見ても、スマホが3に対してガラケーが1という状況ですから。

ですから、ガラケーを作り続けたとしても、メリットはほとんどありません。

ただユーザーの側は、ガラケーがなくなっては困ると考えている人も多いようです。ネットでは、ちょっとした騒ぎになっているみたいです。

ガラケーのシェアもそれなりにある

ちなみに、現在のスマホとガラケーのシェアはどのようになっているのでしょうか。もう少し詳しく見てみましょう。

出荷台数のシェア

MM総研の調査によると、ガラケーのシェアもまだかなりあるようです。2014年に出荷された携帯電話のうち27.6%がガラケーだと言います。台数にすると1058万台です。

しかも2014年は、販売台数自体は前年よりも増えたのだとか。

MM総研が2月3日に発表した2014年1~12月の国内携帯電話端末の出荷台数調査によると、総出荷台数は3793万台で、前年から2.5%減だった。フィーチャーフォン(ガラケー)の出荷台数が2008年以来初めて前年を上回った一方で、スマートフォンの出荷数は2年連続で前年を割った。2

つまり、直近の状態だけを見ていると、「ガラケーの復権か?」というような印象を持つわけです。それにもかかわらず、生産をやめてしまうのかが、ちょっと疑問ではあります。

スマホとガラケーの保有率

ちなみに保有率で見ると、さらに差は詰まります。スマホの保有率が53.5%なのに対して、ガラケーの保有率は28.7%もあるのです。ちなみに、2014年の総務省の情報通信白書の統計です。3

この比率から考えると、日本人の持つ携帯はスマホが2に対してガラケーが1という感じであることが分かります。やっぱり、「なぜガラケーの生産を終えるの?」という疑問は残る数字だと言えるでしょう。

ガラケー終了の理由は何?

上のような調査を見ると、ガラケーは一定のユーザーがいるのが分かります。生産ベースで見るとシェアは維持できていますし、保有者も少なくありません。長期的に見て存続できるかどうかは分かりませんが、そこまで慌てて終わらせないといけないのでしょうか。

ガラケーをやめる理由の一つに、コストの問題があると言われています。外部のOSに頼ることができるスマホに比べ、ガラケーは開発コストがかかるという側面があるのです。その点から利益になり辛いと判断されている可能性はあります。

これに関しては、最初の日経の記事に、次のような指摘が載っています。

スマートフォン(スマホ)の普及が進み、ほぼ日本だけで通用する従来型携帯は開発が重荷になっていた。コスト削減のため、開発する全端末のOSをスマホの標準である米グーグルのアンドロイドに統一する。日本がかつてけん引した従来型携帯の基幹技術がその役割を終える。

あるいはドコモの社長などは、部品の供給制約上の問題があり、中止にせざるを得ないというような言い方をしています。

ただ、今のフィーチャーフォンはOSにSymbianやLinuxを搭載しており、それに対応する部品を使っている。その供給が物理的になくなってくる時期があるように聞いており、それには対応する必要がある」と話す。4

作ること自体が難しくなるのだから、メーカーが生産を終了するのもやむを得ないという理屈ですね。

こうしてみると、ガラケーを作り続けるのに端末のメーカーがあまり乗り気でないという感じなのでしょうか。ドコモのiモードなどは継続する方向のようですから、通信会社というよりはメーカーの事情が大きそうですね。

ガラケーがなくなると何が困る?

さて、ガラケーの生産が終了になると、具体的に何か困ったことは出てくるのでしょうか。

まず言えるのは、すぐに何か影響が出る人は少ないという点でしょうか。あくまで新規の端末の生産終了という事なので。従来使っているものが突然使えなくなるということではなさそうです。端末の故障に対しても、それなりに対応はしてくれるはずです。

となると、問題になるのは、故障などの理由で買い替えが必要な人です。でも、こういった人たちも、実用上は問題が無さそうです。なぜかというと、「ガラホ」と呼ばれるスマホのOSを入れたガラケーのような使い勝手の携帯電話が存在するからです。従来型のボタンタイプの携帯電話を使い続けることは可能なのです。

ガラホは完全にガラケーと同じとは言えないようです。でも、ほとんどの人は、これで間に合うのではないでしょうか。今回の件に関する記事を見ていても、「ガラホがあるから大丈夫!」という論調で、反発を軽減しようとしているふしがあります。生産を終了するメーカー側の言い訳に聞こえなくもありませんが。

ただ、ガラホへの移行は、実は大きな問題を含んでいます。少なくとも現状では、利用料金がガラケーの料金よりもかなり割高なのです。基本的にはガラホはスマホの一種なので、利用料金もかなり高くなるわけです。

現在のガラケーは、利用料金を下げようと思えば、かなりのところまで下げることができます。そして、ガラケーを使い続けている人の多くは、安いプランで契約していることが多いでしょう。そういう人がガラホの料金を見たら、やっぱり抵抗は大きいでしょうね。

もちろんガラケーからの移行者を意識して、安い料金プランが出てくることは十分に期待できます。でも、今のガラケーの水準までは期待ができないのかもしれません。

料金重視なら

ちなみに、料金を重視するのであれば、ガラケーが使えなくなるタイミングでスマホに乗り換えることを考えた方が良いのかもしれません。最近は中小の通信会社などによる格安スマホのサービスが広がりつつあり、月額3,000円前後で利用することが可能です。ガラホを選ぶよりも、経済的なメリットは大きいでしょう。

現在の状況を見る限り、ガラケーの使い勝手を選ぶならガラホへの移行、料金重視なら格安スマホということになるでしょうか。どちらを選ぶにしても、現在ガラケーを使っている人にはいい迷惑ですけどね。

あるいは、機能を限定したガラホ向けの料金プランができるかもしれませんね。ガラケーユーザーのニーズがあれば、そういう可能性もありそうです。

まあ、だいたいこんな状況です。ガラケーのユーザーも、すぐに準備する必要は無さそうです。でも、頭の片隅には入れておいた方がいい問題でしょうね。

補足:ガラホの通信・通話料金は、ガラケー程度になるのか?

ガラホ移行の問題点は、通信・通話料金のプランです。ガラホはスマート本というくくりですから、これまではスマホと同じ料金体系を取っていました。ということは、ガラケーの料金よりも明らかに月額料金が高くなるわけです。

しかし、機能的にはガラケーとほとんど同じものです。ですからはっきり言って、これではガラホに移行するメリットは大きくなかったわけです。このままガラケーが無くなったら、不満に感じる人は多かったでしょう。

ドコモのプランはガラケーと同じ料金設定

これに対して、ドコモが先手を打ってきたようです。ガラホの月額料金をガラケーと同じものにしたのです。

記事から引用してみましょう。

NTTドコモではガラホであっても、従来のガラケーと同じ料金体系を適用。ガラホに乗り換えても、料金は同等であり、スマホに比べて割安で利用できる点が特徴となる。5

完全にガラケーと同じ料金プランで利用できるわけです。ガラホの機能はガラケーに劣るものでは無いので、ガラケーが無くなっても、ほとんど不利益は無いことになります。

KDDIも値下げを発表

これに対して、KDDI も新しいプランを作ったようです。月額1,798円から利用できるようです。

 これらの事情を踏まえ、新たな料金プランを設定。月額1798円から選べるほか、ダブル定額、電話かけ放題プランも用意した。なお、2月発売のAQUOS Kもこの料金プランの対象になる。6

ガラケーに比べるとちょっと高いのかもしれませんが、スマホに比べれば大分安いプランが出来ました。

「ガラケー→ガラホ」の動きを意識した料金設定なのでしょう

まあ、ガラケーユーザーからしてみると、月額料金が高ければガラホに乗り換える価値は無いですよね。少なくとも当面はガラケーが生産されるので、買い換えるにしてもガラケーを買いますよね。

ただ、ガラケーの生産終了は決まっている事項です。ガラケーのニーズは未だに高いようなので、ガラケーが無くなった後のガラホユーザーを取り込みたいと思っているはずです。そうであれば、月額料金を安くするのは当然ですよね。しかも、できれば、早期にガラホに乗り換えてもらい、取り込んでしまいたいと思っているのでしょう。

ですからこの値下げは、まあ、理解できる流れです。


  1. 従来型携帯の生産終了 国内各社、17年以降
    NECは端末完全撤退
    2015/4/24 2:00日本経済新聞 電子版 []
  2. “ガラケー”復調 14年の出荷数、前年上回る スマホは2年連続減少
    ガラケーの出荷台数が08年以来初めて前年を上回った一方で、スマホの出荷数は2年連続で前年を割れ――MM総研がこんな調査結果を発表した。
    [ITmedia] 2015年02月03日 17時25分 更新 []
  3. スマホ保有、日本は53.5% 「ガラケー」も一定の支持
    日本経済新聞 2014/7/15 21:58 []
  4. 「ガラケー」消える? ドコモ加藤社長「“お客様にとってのフィーチャーフォン”はずっと提供したい」
    「“お客様にとってのフィーチャーフォン”はずっと提供したい」――ドコモの加藤薫社長は“ガラケー”の今後についてこう話した。

    [岡田有花,ITmedia] 2015年04月28日 17時05分 更新 []

  5. ドコモもガラホ投入。ガラケー料金プランで
    石川温 | ケータイ/スマホジャーナリスト
    2015年5月13日 []
  6. au 2015年夏モデル–「本気で物販」auショップでECサービスも
    CNET Japan 5月15日 []

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