ネット通販大手サイトであるZOZOTOWN で、先日面白いキャンペーンが行われました。一部の商品価格をゼロ円にして、販売したのです。つまり、送料だけで購入できるようにしたわけですね。
さらに興味深いことに、このキャンペーンに関しては事前の告知がなかったのだそうです。いわゆるサプライズというヤツです。
特にキャンペーンであるという表示すらしなかったということで、価格を誤ってゼロ円にしたと思っていた人も多かったようですね。他の通販サイトなどでは、過去には桁を間違えて、高級品をびっくりするような安値で売ることになったところもありましたよね。そういうことが起きたのだと思った人が多かったわけです。
ゼロ円で売るなんて普通は考えませんから、そう判断する人がいても不思議では無いでしょう。ZOZOTOWN のミスだと思った人の中には買い物を躊躇した人もいて、後から悔しい思いをしたようです。ネットの掲示板などをみていると、そのことに対する逆恨みをしている人も多数見かけました。
ちなみに、今回のキャンペーンの商品点数は約2万点で、総額2億円相当の商品なのだとか。かなり大規模なキャンペーンであることが分かります。
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キャンペーンの狙いはなんだろう?
ところで、このキャンペーンの狙いは何なのでしょうか。ITmedia ニュースの記事によると、ZOZOTOWN は次のように説明しているようです。
ZOZOTOWNは23日、公式サイトトップページで0円販売の意図を説明。サイトが昨年末に10周年を迎えたことを記念し、顧客へのサプライズプレゼントとして「約2万点総額2億円相当の商品を昨晩からこっそり0円で販売」していたという。1
常識的に考えると、これは表向きの理由ですよね。さすがに10周年記念というだけで、ここまでの大盤振る舞いはできません。これだけの大規模な仕掛けをするわけですから、当然他に意図があるはずです。
まず考えられるのが、メディアで取り上げられることを狙った施策だということでしょうか。これだけ大掛かりなことをやれば、メディアの注目も集まるはずです。そういう効果は意識しているはずです。
ただ、これに関しては、そこまで上手くいっていないのかもしれません。というのも、「ZOZOTOWN 0円」でGoogleニュースで検索しても、ヒットする数はそれほど多くありません。特に痛いのが、大手新聞などは全く相手にしていないという点でしょうか。このあたりは計算違いだったのかもしれません。
もう一つの効果として、ネット上の口コミを狙っている可能性も大きいですね。インパクトが大きいキャンペーンなので、口コミの効果はかなり期待できそうです。
実際、Yahoo!のリアルタイム検索で「ZOZOTOWN」で検索してみると、キャンペーン当日はツイート数が跳ね上がっています。少なくとも一定の効果があったのは、間違いがないでしょう。
ネットニュースやら口コミやらで、ZOZOTOWN の存在を知る人がいれば、サイトとしてのメリットは大きいわけです。さらに言うと、キャンペーンに釣られて、ユーザー登録する人がいれば、なおメリットになります。
まあ、常識的に考えると、狙いはこのあたりでしょう。
実はあまり損はしていないかも
今回のキャンペーンは、額だけ見ると、かなり大掛かりですよね。ですから、ZOZOTONW にとってはかなりのコスト要因になっている感じもします。なにせ2億円相当のキャンペーンですから。
でも冷静に考えてみると、ZOZOTOWN はあまりコストを払わずに、今回のキャンペーンをやっているような気もします。少なくとも、億なんてコストはかかっていないはずです。
仕入れ価格で見れば2億円よりはずっと安いはず
まず、今回のキャンペーンでは、2億円相当の商品を0円で販売しています。ということは、商品の仕入れ価格は、それよりずっと安いはずです。
商品によって仕入れ価格は違うでしょうが、半分くらいと見積もって良いでしょうか。もっと安いかもしれませんね。
手数料を無料にするためについで買いがあるのでは
さらに、今回のキャンペーンで0円の商品を買った人は、何か別の商品ををついで買いしている可能性が大きいです。というのも、ZOZOTOWN で買うと送料がかかるので、「送料がかかるならついでに買い物でもしよう」と思う人が多いはずだからです。
ZOZOTONW では3,000円以上の買い物の送料は無料になるのだそうです。ということは、3,000円以上の買い物をしている人は多いはずなんですよね。
在庫処分も含まれているでしょう
また、今回のキャンペーン商品の中には、これまであまり売れていなかった商品も含まれるはずです。つまり、在庫処分的にキャンペーンが使われてきた可能性が大きいわけですね。
普段売れない商品でも、送料だけで手に入るなら欲しいと言う人も多いでしょう。そういう商品を無料で引き取ってもらったとも言えるのかも。
トータルでのコストはそれほど大きくない
以上のような点を考えれば、実質的なコストはそれほど大きくないと考えて良いでしょう。ネットでの口コミ効果などを考えれば、テレビのCMなどよりもよほど有効な方法だったのでは無いかと思います。
もちろん、商品を無料で配るなんていうキャンペーンは、それほど頻繁に行えるものでは無いでしょう。でも、思ったほどコストがかからないのなら、それほど遠くない将来に2回目があっても驚きません。
ネットショップだからできたキャンペーン
ちなみに、リアルなショップでこの手法を真似しようと思っても、おそらくはあまり上手く行かないでしょうね。
まず、今回のキャンペーンの肝は、「ついで買い」にあったと思います。送料を無料にするためのついで買いが期待できるので、無料で商品を提供できていたのは間違いないでしょう。
でも、リアルなショップだと、そこまで大きなついで買いは期待できないですよね。むしろ逆で、買い物に行ったら無料で配っていたので、ついでに貰ってきたと言う感じにすらなりかねません。
また、ネットでの口コミも、リアルな店舗だとそれほど期待できないでしょう。地域限定のような形だと、ネットでは広がりにくいですしね。逆にチェーン店が全国的なキャンペーンにしようと思うと、コストがかかりすぎてしまいます。
そうやって考えると、ネットの状況に合わせた面白いキャンペーンだなあと感じます。
- ZOZOTOWN、商品2万点を「こっそり」0円で販売 価格誤表示ではなかった
ITmedia ニュース 2015年4月23日 [↩]
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