最近、企業PRに公衆トイレが使われるケースが出てきているようです。具体的には、公衆トイレの入り口に企業名などが含まれた看板が設置されるという形がとられるようです。1
看板を設置した企業は、地方自治体などの施設の所有者に対価をはらう形になります。いわゆるネーミングライツというヤツですね。
ちなみにトイレの場合は、トイレに関連する企業がネーミングライツを買っているようです。
野球やサッカーの球場が代表的でしょうか
ネーミングライツで代表的なのは、野球やサッカーの競技場の名前や、コンサートホールなどでしょうか。
野球だと、ダイエーホークスの本拠地である福岡ドームには、「福岡 ヤフオク!ドーム」という名前が付けられています。あるいは、楽天の本拠地である宮城球場は、「楽天Koboスタジアム宮城」という名前が付いています。
サッカーだと、FC東京の本拠地である東京スタジアムは、味の素スタジアムという呼称が使われています。横浜マリノスの本拠地である横浜国際総合競技場は日産スタジアムと呼ばれています。
コンサートホールで言うと、渋谷公会堂は一時期「渋谷C.C.Lemonホール」という呼称が有名でした。いまでは渋谷公会堂に戻っていますけどね。
このような呼称をつけることで、企業側としては、企業や商品の知名度を上げるのに役立ちます。テレビなどで中継するときにもこの名前が使われますから、意外と効果はあるようですね。
逆に名前を付けさせる側としては、企業からお金が入ってきます。ですから、企業と行政で、いわゆるwin-win の関係が築けるモデルなわけです。
まあ、全く問題が無いわけではありませんけどね。例えば企業が不祥事を起こしたりすると、施設を所有する地方自治体も責められることになったりします。「何でそんな企業に名前を付けさせたんだ」というような批判も出てくるわけです。
突然施設の名前が変わることに対する反発もあるようです。渋谷公会堂からC.C.レモンホールになって、また渋谷公会堂に戻ったりするのです。混乱する人もいることでしょう。
トイレの場合は企業負担が重過ぎる気が
今回記事で紹介されていたような公衆トイレでも、だいたい同じような関係は成り立ちそうです。ただ、トイレの場合だと、企業側の負担が、ちょっと重過ぎるような印象を持ちました。もしかしたら、記事で紹介されたケースだけなのかもしれませんが。
具体的にどんな負担があるかと言うと、ネーミングライツを買った企業は、トイレ内の改修や月2回の定期的なメンテナンスの義務を負っているのだそうです。その代わり、お金は払う必要が無いのだとか。要するに物々交換のような形になっているわけです。
トイレをどの程度まで改修するのかは、記事を読んだ限りでは分かりませんでした。ただ、トイレの関連企業が看板を出す以上は、かなりのレベルまで改修しないといけないですよね。
看板を出したのに公衆トイレの中身が陳腐なものだったら、看板を出したことが逆効果になりかねませんから。いい改修をしないと、この企業はこの程度のことしか出来ないのかと思われてしまいます。
でも、そこまでやるとなると、名前を買う企業の負担はかなり大きくなりそうです。公衆トイレの広さが分かりませんが、結構な大工事になるような気がするのです。
また、月2回の定期メンテナンスも、それなりの負担ですよね。少なくとも、それなりの技術を持つ社員を派遣しないといけないでしょうから、その社員に対する人件費だけでもバカになりません。
あくまで感覚的な話ですが、単純にお金を出してネーミングライツを買ったほうが、安上がりで済むような気がするのです。もちろん、採算にあうという判断のもとで、ネーミングライツを買っているはずではあるのですけどね。
ショールーム的な使い方をしたいのかなあ?
改修工事や定期メンテナンスを無償で受け持つ目的として一番合理的なのは、ショールーム的な位置づけとしてこの公衆トイレを考えている可能性でしょうか。場所をかりてショールームを作るより、自社であるていど公衆トイレをプロデュースして、ショールーム代わりにしている可能性はありますよね。
というか、そういう目的で無いと、採算が取れない気がするのです。単にトイレに名前を付けるだけだと、それほど広告宣伝の効果があるとは思えないですからね。
とは言っても、記事で出てくるのは、和光市の例なんですよね。それほど人が集まる場所でもなさそうですし。やっぱり、企業側の意図がよくわからない部分は残ります。
- 公衆トイレ、税金かけず清潔保つ秘策 役所も企業も喜ぶ「命名権」
withnews 2015年4月19日 [↩]
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