採用時に差別をするのはOK?| 実は採用の場合はかなり自由に採ることが出来ます

星野リゾートという会社の採用条件が話題になっているそうです。なんでも、喫煙者と言うだけで採用されなくなってしまうのだとか。

でも、煙草を吸うというだけで採用しないと言うのは、ちょっと差別的な感じもしますよね。このような採用基準は、許されるものなのでしょうか。

あるいは、ビジュアル、国籍、思想など、差別的な採用条件も存在します。こうした理由で採用しないことがあっても、問題では無いのでしょうか。

このあたりの点に関して、ちょっと確認してみましょう。

星野リゾートが喫煙者を採用しない理由

その前に、星野リゾートが喫煙者を採用しない理由を確認しておきましょう。この理由は、星野リゾート採用サイトの「あなたはたばこを吸いますか?」というページに説明されています。

まずページの上部に、一番大きく、次のようなことが書かれています。

大変申し訳ございませんが、星野リゾートグループでは喫煙者は採用いたしておりません。それが企業競争力に直結している課題であるからです。

要するに、喫煙者を採用すると競争力が落ちると言いたいわけですね。結構強気なメッセージです。

具体的になぜ競争力が落ちると考えるのかも、サイト内で説明されています。かいつまんで書くと、次の3点が指摘されています。

  • 喫煙者は能力が落ちる
  • 社員用の分煙施設を作ることで施設を有効活用できない
  • 喫煙者は休憩が多く、非喫煙者から見ると不公平に感じる

細かく色々と書かれていますが、エッセンスを挙げるとおおよそこんな感じです。ちょっと言いすぎな部分も無いではありませんが、他所でも言われているような喫煙に関する問題点と言うことも可能でしょう。どこかできいたことがある話ですよね。

ちなみに、星野リゾートの正確な見解は、採用サイトをご覧ください。丁寧な口調ですが、結構辛らつなことが書かれているのが分かると思います。

喫煙者という理由で採用しないのは問題ないのか?

さて、星野リゾートのように、喫煙者であるからと言う理由で採用しないのは問題は無いのでしょうか。法律などは、何となく、差別的な扱いに対して厳しそうな気がしますよね。

実は今回のケースは、法律的に見ても問題ないのだそうです。シェアしたくなる法律相談所というニュースサイトの「『喫煙者は不採用』・・・企業が喫煙者を排除することは適法なのか」という記事で次のように解説されています。1

■法的に問題はない

企業が採用の際に、喫煙の有無を重要な選考基準としてふるいにかける行為は、適法です。

まず、企業が労働者を採用する行為も、企業と労働者の間の労働契約ですので、企業が誰と労働契約をするか、誰とは労働契約を締結しないかは、基本的に企業の自由です。

採用の際の差別が問題となった三菱樹脂事件最高裁判決でも、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由に決定することができると判断されています。

したがって、喫煙を理由に不採用とすることも適法です。

ちなみにこの記事を書いているのは、現役の弁護士のようです。ですから、書かれた内容は信頼してよさそうですよ。

かなり企業の自由に採用することが出来る

さて、引用した部分の記述からわかるように、企業は基本的には、好きなように採用条件を決めても良いという事です。これはちょっと意外に感じる人もいるでしょう。

でも、考えてみると、自由に採用できると言うのは当たり前のことかもしれません。採用条件を自由に決められないとしたら、まともな採用活動なんて出来ませんよね。

例えば、一風変わった新興宗教に傾倒している人がいたとします。この人が信じている宗教では、1日に3回決まった時間に、どんな場所でも大声で奇声を発しないといけないとしましょう。

この人を宗教を理由に採用を拒否できなかったとしたら、会社としては困ったことになりますよね。ですから、宗教を理由に不採用にするのは問題ないのです。

また、同じような理由で、思想を理由に不採用とする事も可能です。自民党の事務所の採用面接に、共産主義者が来たって困りますよね。

さらに言うと、ブスだからとかデブだからという理由で不採用にする事もできます。これなんて差別の最たるものという感じがしますよね。

でも、冷静に考えてみると、一定以上のビジュアルでないと就けない仕事ってありますよね。例えばアナウンサーの仕事は、一定水準以上の容姿は求められているはずです。また、キャバクラなどで働く女性も、ある程度の水準以上であることを求められることが多いでしょう。最近はマニアックなところもあるようですけど。

もっというと、会社の受付とかエレベーターガールとかCAとか、かなりビジュアル優先で採用していると思われる仕事は多々あります。こうした採用は間違いなく差別的な選び方をしているでしょう。でも、法律上は問題ないのです。

まあ何にしても、容姿を採用基準に入れないと業務上困ってしまう仕事も存在するわけです。

解雇と比べると差別的な扱いもOK

ちなみに、解雇の場合はこんなふうにおおらかにはできていません。

労働基準法には、次のような条文があります。

「第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」

ですから、一旦雇ってしまった場合、信条などを理由に解雇するというわけにはいかないのです。

そもそも一旦雇ってしまった人を解雇するのは、簡単なことでないのはありません。正社員として雇った場合、原則として解雇できないと思っておいた方が良いでしょう。

解雇できるのは、よほど問題を起こした人か、よほど会社が傾いた場合くらいです。

ですから、かなりの自由が与えられている採用のときに、よほど注意して選ばないといけないわけです。そうしないと、後から後悔しても、やり直すことは難しいわけですね。

採用時に差別が禁止されている点も

ちなみに、採用はかなり自由に出来ると書きましたが、一部差別的な扱いが禁止されているものもあります。これも記事から引用してみましょう。

例えば、性別を理由とする募集・採用差別は、男女雇用機会均等法で禁止されていますし、募集・採用時に年齢制限をつけることは、雇用対策法によって原則として禁止されています。

ということで、年齢と性別による差別は、法的に禁止されているわけです。とは言え、年齢や性別を限定した採用条件って、結構見ますけどね。

まあ、ルールはこうなっていますという話ですね。


  1. 「喫煙者は不採用」・・・企業が喫煙者を排除することは適法なのか
    2015/7/12 21:06 – シェアしたくなる法律相談所 []

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