歯医者なんてなるもんじゃないな| 大手企業のエンジニアの方が給料がマシ

平成26年度の医療機関の給与についての、厚生労働省の「医療経済実態調査」という調査が行われたそうです。その結果が興味深かったので、産経新聞の記事からかいつまんでご紹介します。1

まず、勤務医の平均年収が少し下がったのだそうです。具体的に、「医療法人が経営する民間病院の勤務医の平均年収が1544万円で、前年度より2・1%減った」とあります。

これに対し「院長の年収は前年比0・1%増の2930万円」だったのだそうです。つまり、院長の年収が伸びているのに対して、勤務医の年収が減っているわけですね。

このことに対して、産経新聞は、「勤務医の待遇改善が論点となりそう」とまとめています。

でも、これってちょっと違和感を感じませんか?医師の場合は給料の高い上に、労働時間などの問題の方が大きいと思うんですよね。実際、多少給与が下がっても、もう少し労働時間を短くしたいと思っている医師は少なくないはずです。

単純に給料を増やせば大丈夫なんて話ではないでしょう。1,000万円以上もらっている人の給与が5%増えたところで、生活への影響はわずかでしょうし。

開業医の年収が思ったよりも低い

もう一つ興味があったのが、「医療法人が経営する開業医(診療所)の院長の平均年収は前年比0・5%減の2914万円で、個人経営でも0・5%減の1192万円」という部分です。開業医でも個人経営だと年収は低いのですね。

もっとも、この1,192万円という年収を鵜呑みにすることは出来ませんけどね。この調査で「年収」というのが何を指しているのか正確にはわかりませんが、税務署に申告している所得だとしたら会計処理上の理由で年収が小さくなっている可能性があるからです。

開業医というのは、要するに、個人事業主です。ということは病院で使う機器は自分で購入することになります。

この場合、多くの医療機器は、減価償却の対象になるはずです。減価償却というのは、簡単に言うと、機器を買った費用を一括で計上しないで、何年かに分けで計上するやり方です。

ということは、機器の購入にお金を出していない年でも、費用の計上をすることが出来るわけですね。費用をたくさん計上できれば、年収も下がるということになるわけです。

医療機器の会計処理に関しては、かなりバラつきがありそうですけどね。少なくともこの金額を見て、短絡的に判断してはいけないわけです。

歯科医はかなり悲惨な状況です

こうやって見てくるとわかるように、やっぱり医師というのは儲かる職業なのは間違いありません。もちろん、大変な仕事であるのは間違いないのですけどね。

でも、これが歯科医師となると、全く状況は違うようです。なんと、勤務医の歯科医師だと、596万円しか年収が無いようです。ちなみに、これでも前年度比で1.2%増なのだとか。

このくらいの額だと、大手企業の技術専門職のほうが給与が良い可能性が大きそうです。儲かると思って歯科医を目指した人たちには、とんだ計算違いという感じなのでしょうね。

しかも最近は、個人の開業歯科医が非常に多いと言います。開業したところで、なかなか採算を取るのは難しそうなんですよね。歯科医として開業するとなると、かなり勇気が要りそうです。

歯科医を養成する大学の学部学科の一部を、医師の養成学科に変えられれば良いのでしょうけどね。そんな簡単な話でもないでしょうし。


  1. 厚労省年収調査 民間病院医、微減1544万円 歯科医は596万円
    産経新聞 2015年10月30日 []

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