ソニーがベータのカセットの生産を終了するのだそうです。2016年3月までということなので、必要な人は買いだめをしておいたほうが良いかも知れません。そんな人がいるのかは知りませんけど。1
それにしても、いまだにベータのテープが売られていたことに驚きました。良心的といえば良心的ですが、規格競争で敗れてずいぶん高くついたなあという印象もあります。
ベータといわれてどの程度の人が分かるのだろうか?
ところで、ソニーのベータといわれて、どの程度の人が分かるのでしょうか。
おそらく、40代より上の男性は、分かる人が多いでしょう。しかし、それより若い世代だと、知らない人が多いような気がします。あと、機械に詳しくない女性も知らないかもしれませんね。
すごく簡単に説明すると、ベータというのは磁気テープを使うビデオデッキの規格のことです。正式にはベータマックスといいます。
当初ビデオの規格には、ベータとVHS の2つのタイプがありました。しかしベータはシェア争いで破れ、市場から淘汰されてしまいました。結局、VHS が勝ち残ったわけです。
ベータの規格主幹だったのがソニーでした。そのソニーも競争に敗れ、徐々にベータの製造販売から手を引いていったわけです。
そういえば、ソニーがVHS のビデオを製造すると発表したときには、かなりの話題になったものでした。
長期にわたってビデオテープを作り続けた
ちなみに、ソニーがVHS の製造を始めたのが1988年だそうです。そして、2002年にはベータのデッキからソニーも完全に撤退しています。
この流れを考えると、1988年の段階ではベータのシェアはかなり小さかったはずです。データでは勝負にならないと思ったから、VHS の生産も始めたわけですからね。
ということは、ソニーは14年間もあまり売れないビデオを作っていたことになります。
そして、2016年までテープを作り続けたとなると、28年間も少数のユーザーのためだけにテープを作ってきたということです。この部分に関しては間違いなく赤字でしょうね。
まあ、こんなふうに、デッキが無くなった後も記憶媒体を作り続けるのは、日本のメーカーならではという感じがします。他国のメーカーなら、ここまでのことはしないでしょう。
例えば、マイクロソフトのWindows なんて、発売から数年たったらドライにサポートを打ち切ってしまいますからね。
マーケティングで負けると思わぬコストがかかるということ
ソニーのこの対応は、消費者からすると大変ありがたいものです。特に、ソニーの製品を愛している人には、感涙ものなのでしょう。
ただ、メーカーからしてみると、売れない商品を作ると不要なコストがかかり続けるということでもあります。余計なコストは他の製品で吸収しないといけないですから、結果的に割高な商品を作らないといけないということにもなりかねません。
となると、結局は、消費者にとってもいいことばかりでもないということになりそうです。ベータのテープを作るお金は、別の商品を買った消費者が払っているともいえるわけです。
- ソニー、ベータビデオカセットを2016年3月で出荷終了
ねとらぼ 2015年11月10日 [↩]
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