あまり価値が無いものも、工夫次第で高い値段で大量に売ることが出来る| ボジョレー・ヌーボーはある意味すごい

今年もボジョレー・ヌーボーが解禁されたそうです。先日のテロの影響もあり、解禁祝いのパーティーは犠牲者の追悼イベントのようになっていたらしいですけどね。

それはそうと、ボジョレー・ヌーボーの輸入量が減少しているのだそうです。ブームが下火にっているのだとか。1

ただ、個人的には、今までこのブームが続いた事の方が意外です。ブームと呼ぶには長すぎる期間売れてきましたからね。

ボジョレー・ヌーボーはワインと呼んでいいかすら疑問なお酒

ご存知の方も多いと思いますが、ボジョレー・ヌーボーはかなり特殊なワインです。

もともとヌーボーと言うのは、フランス語の形容詞(男性系)で「新しい」と言う意味です。そこから転じて、新人と言うような意味の名詞でも使われます。

ボジョレー・ヌーボーの場合は、ボジョレーの新酒ということですね。

そして、この「新酒」と言うのも、ただ単に「新酒」ということではありません。ブドウの出来を見るための試飲用に作られたお酒と言う意味なのです。

つまり、試飲用に作られた酒を、日本人はありがたがって大量に輸入しているわけです。しかも、フランス人の知人によると、日本での販売価格はかなり高いようですね。

ということで、ある程度の知識がある人は、「今年も踊らされているなあ」という感じで見ているわけです。知人のフランス人は「あんなのは、ただのジュースだ」と言っていました。

もちろん、好きで飲む人のことを否定する気はありません。ブドウの出来をチェックする本来の目的で飲む人のことも同様です。

ただ、ありがたがって飲むタイプの人には、首をかしげてしまうところがあります。ちょっと厳しい言い方をすると、物の価値が分からない安っぽい人に思えますよね。

価値が低いものも高く売れるという事例

このような状況ですから、ボジョレー・ヌーボーをありがたがる日本人というのは、フランス人には非常に滑稽に見えたはずです。

ですから、ボジョレー・ヌーボーの人気が落ちると言うのは、全く不思議な話ではありません。本来あるべき姿に近づいただけなのです。

むしろ、個人的には、これだけブームが続いたことに違和感を覚えるくらいです。

ただ、ボジョレー・ヌーボーがブームになったということ自体は、商売をする上で非常に示唆的といえるのではないでしょうか。なぜなら、それほど価値が無いものでも、売り方しだいでブームにすることが出来るという貴重な事例だからです。

しかも、高値で売ることまで可能というおまけつきです。これは研究してみる価値がありそうです。

解禁日の存在とワインブームが主因かな

ボジョレー・ヌーボーが最初にブームになったのは、私の記憶が確かなら、日本でワインブームが起きたときです。

ワインブームと言っても、ワインのおいしさに目覚めた日本人が増えたわけではありません。赤ワインに含まれるポリフェノールが健康にいいという情報が広がったからです。

当時は、「発掘!あるある大事典」などの健康番組が流行っていました。そう言った番組で取り上げられて、ブームに火がついたのです。

ボジョレー・ヌーボーはこの波に乗れたのが大きかったでしょう。

もうひとつ大きいのが、解禁日が決められているというイベント性です。日本人にはこの手のイベントごとが好きな人が多いですからね。つられてしまう気持ちも分かります。

しかも時差の関係で、世界中の大都市で見ても、東京はかなり早くボジョレー・ヌーボーを飲めるのです。余計にプレミアム感が足されたのでしょう。

おそらく、ボジョレー・ヌーボーを広げた人も、このあたりの点は意識してやっているはずです。売り出し戦略に関するまとまった情報でもあれば、ぜひ読んでみたいものです。


  1. ボージョレが解禁=ブーム下火で輸入減少
    時事通信 2015年11月19日 []

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