どうしても日本が財政破綻することにしたい人たちがいるみたいです

日銀が国債の前倒し発行を決めました。そして、その額が過去最高に上るのだそうです。これに関する高橋陽一氏のtweet とそれに関する一般の人の反応が面白かったので、ご紹介します。

まず、国債の前倒し発行は、次のように伝えられていました。

日銀の異次元緩和で市場に出回る国債が少なくなっている。需給の逼迫で金利が乱高下するのを防ぐため、需要に応じてすばやく追加発行できる態勢を整える。長引く金融緩和で生まれている市場のひずみに対応する。1

これを受けての、高橋氏のtweet がこちらです。

高橋洋一(嘉悦大)
@YoichiTakahashi
国債は品不足。これで財政ハタ~ンのはずないことがわかるだろ。この市場関係者は、実際に財政健全化して国債が少なくなって困っているんだよ。国民にとっては朗報だが→国債前倒し発行、過去最高に 16年度の上限48兆円  :日本経済新聞 nikkei.com/article/DGXLAS…

このニュースは、要するに、市場に出回っている国債が足りないと言っているわけです。

エコノミストの類が言う財政破綻という場合は、国債の暴落を指すことが多いからです。でも、市場の国債が足りないのであれば、国債の暴落も起こりようがありません。ですから、破綻は無いという理屈になるわけです。

これに対して、1つ目の反応がこちらです。

国債市場の品薄感は、日銀が国債を買い占めているから。
コラム:ブラックホール化する日銀の国債購入jp.reuters.com/article/blackh…

この方は、日銀が国債を買い占めているから品薄になるということを言いたいようです。まあ、それは間違っては無いでしょう。記事でも間接的にそう書いていますしね。

でも、日銀が国債を買っていることが原因だったとして、何か問題はあるのでしょうか?

少なくとも2%程度のインフレの状態になるまでは、日銀は国債を引き受けることになっています。そして現状は、物価は十分に上がっているとはいえません。だったら、とりあえず問題は無いはずですよね。

あるいは、日銀が買っているから、そもそも財政健全化にはなっていないと言いたいのでしょうか?これについては後で考えてみましょう。

続いて2つ目の反応です。

日銀が大量購入しているのと民間が購入しているのでは同列には扱えなのでは?単に日銀がリスクを肩代わりしているだけでは?

最初の文は何を言いたいのかよく分かりません。2つ目の文は日銀が日本政府の破綻のリスクを負っているということを言いたいようですね。

でも、これもかなり頓珍漢なtweet です。というのも、日銀って日本政府の子会社みたいなものなんですよね。

お金の流れとしては、自分の子会社に債券を売って子会社から現金を受け取った状態です。ということは、子会社も含めた連結で見れば、何も動いていないのと同じなのです。

これの何が問題なのでしょうか?別に日銀が買ったからと言って、リスクが増えるわけではないですよね。

マスコミ報道を見てると、世の中にはどうしても日本が破綻することにしたい専門家がいるようです。そして、そういう人たちに影響を受けたあまり知識が無い普通の人がSNS で絡んでくるという構図のようですね。

日銀が国債を買い戻すのは財政再建

もっというと、日銀は政府の一部なのですから、日銀が国債を買うのは政府が自分が発行した国債を買い戻しているのと同義なのです。つまり、インフレターゲットのために日銀国債を買えば、実質的には国債発行は抑えられるということですね。

結局、国債を発行しないでも政府にお金が入っていることになるわけです。

また、日銀が市場から国債を買い戻せば、それは政府が市中の国債を買い戻しているのと同じことです。ですから、既発債を繰上償還していることになり、財政再建をしているのと同じことなんですよね。

どうしてもこのことを認めたくない人はいるようなのですけどね。何でなのでしょう。

今回のお二方も、どうやら、そのタイプの人たちみたいですね。日銀は切り離した状態で財政再建しないと、大変なことになると思っている人たちのようです。twitter のプロフィールからも、推察できます。

でも、ちょっと不勉強な感じがするんですよね。勉強していれば、もう少し効果的な反論ができるはずなんですけど。しかも、相手が悪すぎますし。逆にこの程度の知識だと、相手にもされない可能性の方が大きいでしょうか。

もうちょっとまともな人たちは出口戦略を心配

ちなみに、批判派の中でもうちょっとちゃんと理解できている人たちは、出口戦略を心配しています。出口戦略と言うのは、簡単に言うと、日銀が国債を買わなくなった場合のことですね。

日銀は日本円をたくさん発行するために国債を買っています。お札をたくさんすることで、インフレを起こそうとしているのです。

ということは、目標レベルのインフレが起こると、日銀は国債を買うことができなくなるわけです。少なくとも、買い入れのペースは落ちてくるでしょう。

そのとき国債が暴落して日本が破綻すると言うのが、もうちょっと分かっている人たちの反論です。大学教授などが経済誌に書いている記事には、この手のものが多いですね。

ただ、この手の反論もちょっと理解しづらいんですよね。こういう主張をする人たちの中には今すぐ国債発行を減らすべきだという主張をする人が多いからです。でも、今すぐ発行を減らす必要性はあるのでしょうか?

それに、この手の人たちがインフレと言う場合は、かなり高いインフレ率を念頭においている場合が多いのです。例えば、戦後の日本のインフレ率を念頭にしている論文を読んだことがあります。

でも、日本政府の目標は2%なのですから、さすがにちょっと荒唐無稽な感じがします。


  1. 国債前倒し発行、過去最高に 16年度の上限48兆円
    2015/12/27 1:30日本経済新聞 電子版 []

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