雇用保険と労災保険の保険料の計算方法は| 基本は簡単だが、実際計算しようと思うと面倒な点も

事業主が負担する労働保険(雇用保険+労災保険)の保険料の額は、どうやって決まるのでしょうか。そのあたりについて、厚労省のサイトを参考に、確認してみましょう。

基本は非常に簡単

労働保険の保険料の計算方法は、非常に簡単です。次のように計算されます。

労働保険料=賃金総額×(労災保険料率+雇用保険料率)1

このように、賃金の総額に定められた率を掛けるだけで、計算出来てしまうのです。小学生レベルの計算ですね。

ただ、実は、色々と細かい部分に注意が必要なのです。以下、確認していきましょう。

保険料率の決まり方

さて、雇用保険料率と労災保険料率というのは、具体的にどのような数字なのでしょうか。厚生労働省のサイトによると、「一般の事業」の雇用保険料率は、事業主負担率が「7/1000」で被保険者負担率は「4/1000」とあります。

事業主負担率はその名のとおり、事業主の負担率です。支払った賃金の0.7%を保険料として負担するということですね。

被保険者負担率というのは、要するに、労働者が負担する分という意味ですね。従業員の負担は、給料の0.4%ということです。

なお、一般の事業以外に「農林水産、清酒製造の事業」と「建設の事業」があり、これらは保険料率が違います。

次に、労働保険料率ですが、これは業種ごとに細かく分かれています。例えば、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」だと、「3.5/1000」と定められています。飲食店とか小売業だと、支払った賃金の0.35%を労災保険の保険料に取られるという事です。

ちなみに、労災保険料率は、危険な仕事だと高くなる傾向があります。まあ、当然ですね。

具体的に計算してみましょう

以上を踏まえて、ちょっと計算してみましょう。飲食店を営むある個人事業主が、従業員を一人雇っていたとします。そして、その人の賃金総額が年400万円だとしましょう。

この場合、雇用保険の被保険者負担分は1万6000円(=400万円×0.004)、雇用保険の事業分が2万8000円(=400万円×0.007)、労災保険の事業主負担分が1万4000円(=400万円×0.0035)となります。大体こんな感じで計算されます。

ちなみに、雇用保険料率と労働保険料率は、時々変わることがあります。ですから、実際に計算するときには、最新のものをチェックしてください。

事業主の負担は賃金総額の1%程度から

上の計算で分かるように、事業主の負担分は、雇用保険保険料の事業主負担分と、労災保険の保険料全額です。上の場合だと、賃金総額の1.05%を保険料として払っていますね。

ちなみに、労災保険の保険料率は、最低が0.25%です。ですから、支払っている給料に対して、0.95%が最低の保険料という事になります。

厳密に言うと色々と補足が必要なのですが、大雑把にはこんなところです。

ちなみに、労災保険の保険料率は、高いものでは8.8%も取るものがあります。「金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業」という職種です。

この他にも、「水力発電施設、ずい道等新設事業」の7%や、林業の6%、採石業の5.2%あたりは保険料率が高いですね。事故が起こりやすかったり、事故が起こった時の被害が大きかったりするのでしょう。

このくらいかかるとなると、コストとしてかなり意識しないといけません。

雇用保険と労働保険では賃金総額が違う

上で挙げた計算例は、従業員が雇用保険に入っていると仮定して計算しました。しかし、すべての労働者が雇用保険に入っているわけではありません。

例えば、昼間の大学に通う大学生の場合、基本的には雇用保険に入ることができません。あるいは、1週間の労働時間が20時間未満の労働者も、雇用保険には入れません。

こういう人たちは、賃金総額から外さないといけないんですよね。ちなみに、厚生労働省の説明がこちら。

「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で賃金を支払われる者をいいます。
ただし、その事業に使用される労働者のうち、雇用保険料の負担が免除される「高年齢労働者」(その保険年度の初日において満64歳以上の者)や雇用保険の被保険者とならない者(学生アルバイト等)に対して支払った賃金がある場合には、労災保険に係る保険料と雇用保険に係る保険料とを区別して、それぞれ算定したものの合計が労働保険料となります。2

逆に、労災保険はすべての労働者が対象です。ですから、雇用保険と労災保険で、賃金総額が異なることが多いのです。労災保険の賃金総額の方が大きくなるわけですね。

面倒ですが、計算をする上では重要なポイントです。

賃金に含まれるもの含まれないもの

もう一つ、重要なポイントがあります。賃金総額を決定するには、労働者一人一人の賃金を把握しないといけません。それがないと、合計である賃金総額も計算できませんからね。

でも、一人一人の賃金を正確に把握するのって、意外と微妙な点がありそうな感じがしませんか。ちょっと見てみましょう。

まず、もちろん、毎月の給料は賃金ですよね。これは当然でしょう。

では、ボーナスはどうなるのでしょうか。賃金総額の賃金には含まれるのでしょうか。さらには、退職金も気になります。

あるいは、通勤手当は賃金に入るのでしょうか。社員が結婚すると、結婚祝金を出す会社もあります。これはどうなのでしょう。

このように、何を賃金にするかは、意外と難しい問題なのです。まあ、これに関しては、厚生労働省のサイトに例示がされています。3 それを見て、判断してください。

ちなみに、上にあげた例だと、給与、ボーナス、通勤手当は賃金に入ります。退職金、結婚祝金は賃金には入りません。

基本は簡単だが面倒な点もある

繰り返しますが、労働保険の保険料の計算の基本は簡単です。賃金総額に保険料率をかけるだけですからね。

ただ、実際に計算しようと思うと、色々と気をつかう点があるわけです。はっきり言って、面倒ですね。

次ページ:雇用保険の被保険者になる人はどんな人?

賃金総額を計算するためにも、雇用保険の被保険者になる従業員はしっかり把握しないといけません。


  1. 労働保険料の申告・納付 []
  2. 労働保険の年度更新とは| 厚生労働省 []
  3. 労働保険料等の算定基礎となる賃金早見表(例示)| 厚生労働省 []

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