リスクだけを紹介することで人を騙す手法が横行しているようですよ| 悪質ですが大マスコミまで手を染めています

DeNA が運営する健康医療情報サイトのWELQ のすべての記事が削除されたようです。これに関して、BLOGOS に面白い主張をしている記事がありました。赤木智弘という方の、「WELQの質が低い? なにをいまさら」という記事です。1

医療情報で問題があるのはWELQだけではない

この記事の何が面白いかというと、ネット上の医療情報で酷いのはWELQ だけでないと主張している点です。意図的なのかどうかは別にして、事実をゆがめるような記事が横行しています。

そして、ここに書かれているやり方を使えば、人をだますのって簡単なんだろうなと思わずにはいられませんでした。実際、ここに書かれているような情報に騙されている人が、身近にも存在しますからね。

ちなみにここで紹介されていた方法は、医療に限らず他の分野でも同様に使える手口です。例えば、経済の分野で使っている例もよく見かけます。

ということで、記事の引用をしつつ、悪い奴がどうやってだましているのか見てみたいと思います。

危険な物質が入っているから危険という単純な論理展開をする

さて、具体的にどうやってだましているのか、チェックしてみましょう。

よくある世間一般で「標準」ともいえる健康情報の記事の論理展開はこうだ。

「この食品や化粧品には、このような添加物が使用されている。この添加物はマウスを使った実験により、こんなに体に悪いことが科学的に証明されている。故に、この添加物を使った商品は危険であり、買うべきではない」だ。過去に『買ってはいけない』という、市販品の実名を出して、その危険性を煽った本がブームになったことがあるが、それ以前から今に至るまで、この論理展開が典型的な健康情報記事のテンプレートである。

例えば添加物に関して、科学的にリスクがあることを示すわけですね。その添加物にリスクがあることが確認されているから、その添加物を使った商品は危険であると結論付けてしまうのです。

物事を単純に理解したい人にとっては、この考え方は非常に受け入れやすいですよね。危ないものが入っているから危ないですよというのは、説得力がありそうな主張ですから。

冷静に考えると間違った考え方であることが分かる

でも、このロジックって、完全に間違っているんですよね。ちょっと頭を使えば、誰でも気づくことが出来ます。

だって、体に害をもたらす可能性があるものが少しでも入っていたら危ないのであれば、塩だって小麦だって米だって危ない食品ということになってしまいます。というか、世の中に危なくない食品なんて存在しません。

塩を取りすぎると血圧が上昇して体に悪いですよね。小麦や米をたくさん取ると体重が増加し、これまた体に悪いわけです。どちらも、死に至る可能性があります。

でも、体に悪いからと言って、塩や小麦や米を全くとらない人がいるでしょうか。そんな人、絶対にいるはずがありません。なぜなら、塩や小麦や米を取らないと、それはそれで死んでしまうからです。

ではどうすればいいかというと、適量を摂取するように心がければいいのです。塩だって炭水化物だって、適量なら問題ありません。

こんな事は、冷静に考えれば誰でもわかる話です。

添加物だと、当たり前の判断が出来なくなる人がいる

でも、食品添加物になると、この簡単な話が通じなくなってしまいます。少しでも入っていると「危ない!」と思ってしまうのです。

いわゆる食品に関する実験というのは、危険性を認識するためだけに行うのではありません。どの程度摂取すると危ないかを知るために行うのです。

そしてその実験を通して、摂取しても安全な基準を決めていくわけですね。ちょっと、先の記事から引用してみましょう。

そもそもマウスなどによる添加物の生命への影響を見る実験は、危険性を確認するために行われている。だから実験では、食品添加物であれば、ありえないくらいの量をマウスに摂取させるし、シャンプーや石鹸であれば何十時間も皮膚に塗ったままにする。そのように極端なことをして、わざと害を出すのである。そうしてわざと害を出して、危険性を確認した上で、その添加物を体重あたりどのくらい使えば危険であるかを算出する。それはイコール「どのくらいであれば安全か」を算出することなのである。

そのうえで、危険と安全の境となる分量の百分の一程度の使用量であれば安全であるという計算をして、その添加物に対する一日摂取許容量を設定する。そこからさらに一日摂取許容量を下回る形で食品衛生法上の使用基準が設定される。

ようするに、危険性が認識されている添加物に関しては、使用量が制限されているので全く問題が無いわけです。基準自体も余裕を持った基準になっていますしね。

こんなこと論理的に考えたら、当たり前のことですよね。

先ほどの塩やコメの例と同じで、適量なら摂取しても問題ないわけです。塩や米と唯一違うのは、添加物は全く摂取しなくても害はないという事でしょうか。

こんなふうに騙すのって、実は簡単

今回は食品の添加物に関する話でしたが、こんなふうな方法で人を騙すのって、実は簡単なことですよね。というか、実際にだましている人がたくさんいます。

例えばネットでは、コンビニの食品は添加物が入りすぎているから健康に悪いと盛んにキャンペーンをしている人がいます。でも、コンビニの食品も食品衛生法の適用を受けるわけで、コンビニだから特に悪いという事は無いはずです。

論理的に考えれば当たり前の事なんですけどね。こんな素朴理論を信じ込んでいる人を結構見かけます。たぶん、こういう情報を発信している人自身も、信じてしまっているのでしょうね。

あるいは放射能でも同じような例は見られます。仮に基準値以下の数値でも、ちょっと大き目の数字が検出されると、即座に大騒ぎする人がいますよね。でも、これも同じタイプの嘘です。

そもそも自然界には放射性物質があるので、普通に生活している人だって少しずつ被曝しているのです。ですから多少の放射能は、本来的には全く騒ぐ必要は無いはずなのです。

これも、かなり過敏になって大騒ぎする人がいます。悪質な事に、こうした人の中には、政治的な意図をもって世論を誘導するために騒ぐケースもあるんですけどね。

科学の話題だけでなく、経済の話題でもありますよね。最近だと、少し株価が下がったり円高になったりしたときに、アベノミクスが失敗だと騒ぎ立てる人がいました。そんなちょっとした変化で、失敗と断定してしまうのかとちょっと驚いたものです。

でも、こういう人たちって、株価が上がったり円安になったりするとアベノミクスが成功したとは言わないんですよね。海外の要因で株価や為替が動いている可能性だって大きいわけですから。

そうそう、ブレグジットの投票の影響で株安になった時に、アベノミクスは失敗だなんて言っていたエコノミストもいましたね。もうアホかと。

こういう人たちは、経済の知識が無い人を騙してやろうと思って、意図的に発言しているとしか思えません。そして残念なことに、ここまで雑な素朴理論にも騙されてしまう人はいるようです。

しかも、こうした情報を発信しているのは、小さなメディアに限らないのです。大マスコミでもこうした報道を平気ですることがあります。もう勘弁してほしいです。

自分のビジネスにも応用可能かも

まあ、なんにしろ、こうした手法を使ってビジネスをしている人は意外とたくさんいそうです。大マスコミすら使っている手法ですからね。DeNA のブログなんてかわいいものかもしれません。

使い方としては非常に簡単なので、自分のビジネスに応用することも可能でしょう。プライドが許せばの話ですけど。

もちろん、個人的にはそんなことまでやりたくはありませんし、人に勧めもしません。ただ、やり方としてこういうやり方があることくらいは知っておいて良いでしょう。

個人的には、大変参考になる記事でした。


  1. WELQの質が低い? なにをいまさら
    赤木智弘 2016年12月04日 09:29 []

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