何でも貧困問題とかブラック企業問題に結びつけるのは、思考の硬直化だと思うのですが| オリジナルの記事にも相当酷いものがあるようですよ

DeNA のキュレーション・サイト騒動に関して、「dot.」で河嶌太郎という方が記事を書いていました。タイトルは「DeNAまとめサイト閉鎖は、“奴隷ライター”解放の先鞭となるか?」という記事です。1

この方は、キュレーション・サイトではなく、まとめサイトという言い方をしているようですね。

キュレーションサイトのライターは単価が低いらしい

さて、具体的にどんな記事かというと、DeNA などのキュレーションサイトの記事を書くライターの単価が、非常に安いことを紹介したものです。こうしたライターの単価は、安いものだと一文字0.1円という事もあるのだとか。

一文字0.1円だと、1万文字書いても1,000円にしかなりません。これだと、頑張っても時給数百円程度でしょう。確かに安い単価ではあります。

そのうえで、次のように結論付けています。

ニワトリが先か卵が先か、これまで増え続けてきたまとめサイトが減少に転じれば、やがて外部執筆者の待遇改善につながるという考えは確かにあるかもしれない。DeNAまとめサイトの全閉鎖という決断が後に”英断”と評されることを祈るばかりだ。

あれ?この結論はおかしくないか?

仕事先が増えると単価が上がるという不思議な理屈

「dot.」を運営しているのは朝日新聞出版です。リベラル系のメディアですから、貧困問題とかブラック企業問題につなげたいという意図があるのでしょう。

まあ、そういう主張をする人が居ること自体は、否定するものではありません。

でも、さすがにこの結論は論理的ではありませんよね。低賃金労働などの問題に結びつけるために、無理やり結論づいているとしか思えません。

そもそもまとめサイト(あるいは、キュレーション・サイト)が減るという事は、外部ライターの仕事が減るという事です。という事は、需要と供給のバランスでいうと、需要が減った状態になるわけです。

仕事の需要が減ったらどうなるかというと、当然ですが仕事の単価は下がる方向に動くはずです。文章を書きたい人が余るわけですから、仕事を出す方が強気になるのは当然ですよね。

つまり、DeNA がキュレーションサイトを閉鎖すると、単価がさらに下がる可能性すらあるわけです。単純な需給関係だけで判断すると、そうとしか考えられません。

社会問題になるから単価が上がるとでも言いたいのか?

100歩譲って考えてみると、今回の件がきっかけで社会問題になり、その結果として単価が上がるというようなことを言いたいのかもしれません。そんなことは全く書かれていませんけどね。もしかしたら、心の中でそう思っているのかもしれないと、好意的に解釈してみました。

でも、その考えも多分甘いでしょう。ライターへの報酬というのは、サイトの収入をもとに考えられているはずです。

社会的に批判が高まったからと言って、おいそれと単価を上げるわけにはいかないでしょう。赤字になるような報酬にすると、モデルが破綻しますから。

ですから、仮に単価が上がったとしても、微々たるものとしか思えません。そして、高すぎる要求がされるような場合は、サイト閉鎖に追い込まれるだけです。

dot. 大丈夫か?

河嶌さんという方がどういう方かは存じませんが、さすがにこの記事の結論は酷いです。そして、論理的に明らかに矛盾がある文章を平気で載せる「dot.」も、相当酷いと言わざるを得ないでしょう。

お願いだから、もう少しまじめにやってくださいよ。

DeNA がやっているような、コピペで記事を作るという手法は、もちろんほめられたものではありません。でも、オリジナルだから必ずしも良いわけでは無いという事も、この記事を読むとよく分かります。

オリジナルの、ただのプロパガンダとしか思えませんから。


  1. DeNAまとめサイト閉鎖は、“奴隷ライター”解放の先鞭となるか?〈dot.〉
    dot. 2016/12/7 []

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