高いロイヤリティを払ってまでコンビニ経営に手を出すのは賢明な選択か?

セブンイレブンが加盟店の支払うロイヤリティを1%下げました。これが結構話題になっているようです。

1%くらいの値下げならたいしたこと無いような気もするんですけどね。セブンイレブンとしてはこれまで手を付けてこなかった聖域だったようで、それが衝撃を与えたようです。

ロイヤリティってどのくらい取られるの?

ところで、コンビニのロイヤリティってどの程度取られるのでしょうか。実は、このロイヤリティ、かなり高いようです。常識的に考えて、「これだけ手数料が高いとうまくいかないだろうな」という感じが強くしました。

ITmedia ビジネスオンラインの「セブンの『ロイヤリティ引き下げ』が意味するもの」という記事によると、セブンイレブンの場合、ロイヤリティは粗利益に対してかかるようです。粗利益というのは、売上から原価を引いたものですね。

粗利益=売上-売上原価

コンビニの場合は、売上から弁当などの仕入れ代金を引いたものが粗利益です。実は、この粗利益がちょっと曲者なのですが、それは後で説明しましょう。

自分で店舗を用意できる場合のロイヤリティは?

さて、セブンイレブンのロイヤリティですが、自分で店舗を用意できる場合と、本部に用意してもらう場合で違うようです。

店舗の土地と建物をオーナーが用意した場合は、この粗利益に対して43%がセブンイレブンのロイヤリティになるそうです。つまり、セブンイレブンは粗利益の半分近くを持っていくわけですね。

紹介した記事にある例に従って、「1カ月の売上高は1500万円。仕入原価を70%と仮定」すると、1か月の粗利益は450万円となります。このうちの57%である256.5万円が、粗利益になるわけです。

ここから人件費やらその他の経費やらを支払うことになるわけです。

人件費はどの位かなあ。アルバイトの時給を1,000円として、平均3人が24時間働いているとしましょう。そうすると、1日当たりの人件費が7万2000円になります。月30日として216万円人件費がかかる計算になります。

あれ、これだけで赤字寸前ですね。という事は、1か月の売上高1,500万円程度の店だと、オーナーと家族が働くなどして、バイトを平均2人台にしないと採算が取れなさそうです。

かなり厳しいですね。

本部が店舗を用意する場合はさらに悲惨

店舗をセブンイレブンが用意する場合は、さらに悲惨なようです。この場合のロイヤリティは、なんと、粗利益の70%に当たる額になる事もあるようです。

条件によって色々なケースがあって54%程度で済むこともあるようですけどね。まあ、店舗を自分で用意する場合に比べると、かなり厳しいのは間違いありません。

仮にロイヤリティを70%とすると、ロイヤリティを引いた後の粗利益は、450万円の30%で135万円という事になります。

こうなると、バイトだけで回すのはほとんど不可能でしょうね。オーナーと家族が働いて、どのくらい人件費を浮かせられるかが勝負になりそうです。

他のコンビニはもう少しマシらしいです

ちなみに、他のコンビニチェーンは、もう少しロイヤリティの割合が小さいようです。店舗を自分で用意する場合は、3割台というところがほとんどです。

さすが業界ナンバーワンだけあって、セブンイレブンは強気なのでしょうか。でも、それを維持するのも難しくなったという事でしょうね。

コンビニの粗利は特殊

さて、ここでちょっと疑問が、コンビニの場合はお弁当などの破棄がついて回りますよね。あの破棄した弁当は誰の負担になるのでしょうか。粗利益を計算するときに、影響が出たりしないのでしょうか。

実は、コンビニの破棄した弁当などの原価は、粗利に入れられてしまうケースが多いようです。つまり、弁当が売れようが売れまいが、仕入れてさえいれば本部の売上になるわけです。ですから、コンビニの本部としては、少しでもたくさんの弁当を仕入れさせたいというインセンティブが働くことになります。

コンビニの本部は、棚に空きが出ないように多めに仕入れることを促すことが多いという話はよく聞きます。仮に弁当が売れ残っても、棚に空きが無い方が集客にプラスで、店舗のためになるという説明をしているようですね。

しかしアレは、ロイヤリティの計算をするときに使う粗利を増やすために行われている事なのかもしれません。

率直にって、この点はかなりブラックですね。個人的にはあまり「ブラック」という単語を軽々しく使うのは好きではありません。でも、破棄した商品の原価を粗利に入れてロイヤリティを増やしているとなると、この言葉を使わざるを得ないという感じは強くします。

コンビニならではのメリットもあるのでしょうが

もちろん、コンビニという仕組みを利用するメリットもあるのだとは思います。

例えばコンビニなら、ある程度の売り上げは確実に見込めますよね。立地の調査に関してはかなりの経験があるはずですし、有名チェーン店というだけで客が店に入りやすいはずですから。

また、商品の仕入れに関しても、コンビニのオーナーは心配する必要がありません。このあたりもコンビニのメリットでしょう。

商売の素人がいきなり自分の店を持ったら、なかなかこうはいかないでしょう。それなりの売り上げを実現するまでには、多少の時間はかかるはずです。軌道に乗るまでに資金繰りが苦しくなって頓挫するという可能性も少なくありません。コンビニでは、そういう可能性は小さいはずです。

とは言え、4割以上のロイヤリティは、やっぱりちょっと高すぎる気がしますけどね。コンビニなら軌道になりやすいとはいえ、この手数料を払い続けるというのは、大きな負担です。

よっぽど立地に恵まれたところに不動産を持っている場合以外は手を出さない方が良さそうです

こうやって考えると、よっぽど立地が良い場所に不動産でも持っていない限り、コンビニなんてやるものではありませんね。特に、店舗を自分で用意できない場合は、かなり厳しいという印象です。

でも、良い立地に不動産を持っていたら、人に貸してしまう方が手っ取り早いですよね。コンビニオーナーと比べて収入は少なくなるのかもしれませんが、決まった金額が入ってくるという安心感はありそうです。

それにコンビニオーナーになったら、経営にかなりの時間を割かないといけないですよね。自分がシフトに入らなくても、それなりの時間は取られるでしょう。この点でも、やっぱり、不動産を貸した方がメリットが大きいでしょう。

やっぱり、コンビニなんてやるもんじゃないな。

今の仕組みで維持できるのか?

現在のビジネスモデルだと、コンビニは人件費の高騰に弱い事が分かりました。オーナー側の取り分が少ないので、人件費の高騰に対応できないのです。今後これを維持できるかは、甚だ疑問です。

もちろん、店舗ごとの売上高が大きくなれば、この問題は解消可能でしょう。でも、実際問題としては、店舗ごとの売り上げを増やすのは簡単では無さそうです。

というのも、現在のようなペースで出店していけば、同じチェーンどうして客を食い合う可能性も大きいからです。同じチェーンのコンビニの出店で、売上が減る可能性だってあるわけですね。

実際に、私の家の近所には5店以上の複数のコンビニがあります。同じ系列のコンビニもあります。このうちのどれか一店を贔屓に使うという事も無いので、確実に客を食い合っているでしょうね。

もちろん、商品の入れ替えなどで売り上げが増える可能性が無いとは言いません。でも、そんなことが出来るのなら、とっくにやっているはずですしね。

率直に言って、ちょっと手を出したくない感じはしますね。

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