牛丼チェーンには、50円の値下げって意外と大変な事なのかもね

牛丼チェーンが頻繁に行うのが50円の値下げキャンペーンです。例えば、2017年6月には松屋がプレミアム牛めし50円引きのキャンペーンをやっています。

これは、サイズにかかわらず、プレミアム牛めしの価格を50円下げるというものです。並盛の普段の販売価格が380円なので、約13%の値下げとなるわけです。

あまりお得感は感じない

ただ、この手のキャンペーンは、率直に言ってお得感をあまり感じません。少なくとも個人的には、並盛が380円から330円になるからと言って、松屋に行ってみようとは思わないからです。

値引きを率で見ると大きいのかもしれませんが、もともとの金額が安いので、たいしたお得感は無いわけですね。1,000円のランチが100円引きなら、もう少しメリットは感じると思うのですが。

そして、サイズによらず50円引きなので、普段大盛りや特盛を食べている人にとっては、さらにお得感が小さいでしょう。

メリットがあるから繰り返しやるわけです

と言うわけで、個人的には全くメリットを感じない牛丼の50円引きですが、繰り返し行われるという事は牛丼チェーンはメリットを感じているわけですよね。そうでなければ、違うキャンペーンに切り替えるわけですから。

実際、日経新聞に次のような記述がありました。1

牛丼大手3社の11月の既存店売上高が4日、出そろった。10月は牛丼のセールの効果で3社とも前年同月比で大幅増収だったが、11月は吉野家ホールディングスの「吉野家」、ゼンショーホールディングスの「すき家」が減収に転じた。値下げセールの終了後は集客力を維持できなかった。

各チェーンで値下げの額は違うようですが、50円から80円程度の値下げで売上高が大きく上がったようです。値下げをして売上高が増えたのですから、キャンペーンとしては成功だったという事でしょう。

キャンペーンに合わせて広告を打つでしょうから、それが効果があるのでしょうか。普段いかない人も、安くなるなら行こうと思うかもしれませんし。

でも、キャンペーンをやっていると混むので行きたくないという人も良そうですけどね。特に、50円程度しか安くならないなら。

まあ、よく分かりませんが、50円程度の値引きでも一定の効果はあるという事です。

50円の値引きをするのは意外と大変

ところで、牛丼チェーンにとっては、50円の値引きと言うのは意外と大変な事かもしれません。かなり無理をしたキャンペーンである可能性が大きいのです。

NEWSポストセブンというところの記事によると、牛丼並盛1杯の原価は175.4円ということです。2 定価が380円ですから、原価率は46%という事になります。

飲食店の原価率は30%が良いと言われることが多いようです。ということは、牛丼チェーンの原価率はかなり高めという事が言えるわけです。

まあ、大盛りとかサイドメニューの原価率はもっと低いでしょうから、全体ではそこまで原価率が高いわけでは無いと思いますけどね。

さて、175.4円が原価だとすると、松屋の並盛の粗利益は 204.6となります。3 そこから50円の値引きをすると考えると、牛丼チェーンにとっての影響の大きさがわかるでしょう。粗利益の25%近くを値引きのために使わないといけないわけですから。

ですから、営業利益4 で考えると、利益が残るのか不安になるレベルです。

まあ、おそらく、牛丼1杯当たりの人件費や水道光熱費が減るったりというメリットもあるのでしょうけどね。売上が増えれば、牛丼1杯当たりの人件や水道光熱費は減りますから。

やっぱり効果があるんだろうね

今でこそ牛丼の並盛は各社400円前後に値上げされています。しかし、ほんの数年前には、1杯280円程度と言うのが相場でしたよね。その時期にはさらに経営への影響が大きかったことになります。

それだけ影響が大きくても値下げキャンペーンをやっていたわけですから、やっぱりそれなりの効果があると考えた方が自然なのでしょうね。


  1. 牛丼3社、11月の売上高振るわず 値下げ終了で
    日経新聞電子版 2015/12/4 19:38 []
  2. 牛丼一杯の原価 牛肉が80gで80円など合計175.4円との試算
    NEWSポストセブン 2013.11.01 16:00 []
  3. 粗利益=売上高-原価
    参考:粗利益と営業利益の違いは理解しておきましょう []
  4. 営業利益とは売上高から原価や営業にかかわる諸経費を引いたものです。
    参考:粗利益と営業利益の違いは理解しておきましょう []

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