2017年に実施される衆院総選挙に関する記事で、「新聞記者って数字が苦手なんだろうなあ」と思わず思ってしまった記事がありました。具体的には、朝日新聞の記事の次の部分です。1
比例区投票先を政党名を挙げて聞くと、自民が35%で最も多く、希望12%、立憲民主と公明が7%、共産6%、維新4%などだった。うち無党派層では自民17%、希望13%、共産7%、立憲民主6%だった。
ここで注目して欲しいのは、希望の13%です。これに関して、前回の世論調査との比較がなされています。
民進が希望への合流を決める前の9月26、27日の緊急世論調査では、比例区の投票先は自民32%、希望13%、民進8%の順だった。今回、希望の支持傾向に大きな変化はなかった。
前回12%で今回13%だから、大きな変化は無しと結論付けているわけですね。でも、これはちょっと無理があります。というのも、引用個所に書いてある通り、前回の調査は「民進が希望への合流を決める前」に行われていたからです。
これを書いている段階では、希望の党の1次公認が発表されています。この1次公認では、民進党出身者は110人もいるのです。2
これだけの数の民進党議員を取り込んでいるということは、希望の党は民進党のかなりの部分を吸収しているという事です。ということは、支持傾向に変化が無ければ希望の党に投票する人が増えるのが自然ですよね。数字上の変化が小さいからと言って「支持傾向に大きな変化はなかった」とするのは、分析として雑過ぎると言わざるを得ません。
民進のかなりの部分を取り込んでも比例で投票するという割合が減っているわけです。ということは、希望の党は、この短期間でかなりの支持を失ったと考えるべきでしょう。あるいは、民進党の議員が入っても、民進党の支持者がついてこなかったかです。どちらにしても、「希望の支持傾向に大きな変化はなかった」はかなり無理がありそうです。
朝日新聞の記者が気づかなかったのか、分かった上でこんなふうに書いたのかはしりませんけどね。ただ、どちらにしても残念な話だとは思います。
- 比例区投票先は自民35%、希望12% 朝日世論調査
10/4(水) 23:08配信(朝日新聞) [↩] - <衆院選>希望の党、1次公認192人 民進出身は110人
10月3日(火) 21時57分-政治(毎日新聞) [↩]
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