個人事業主などの、第1号被保険者だった夫が亡くなったとします。この夫に高校卒業までの子供がいれば、その家庭には遺族基礎年金が支払われることになります。
しかし、この夫に子供がいないケースだと、残された遺族には公的な遺族年金が給付されないことになります。それって、なんだか、損をした感じですよね。
サラリーマンの場合は、原則として遺族厚生年金が支払われるので、何にもお金が返ってこないという事はあまりありません。ですから、個人事業主などにとっては、一方的に不利な感じがしますよね。
ただ、個人事業主が亡くなった場合に、全く何ももらえないという事でもありません。
まず、老齢基礎年金も障害基礎年金ももらわずに亡くなった場合には、残された家族は死亡一時金というものが貰えます。また、いくつか条件は付きますが、亡くなった夫の配偶者(つまり、妻)が寡婦年金と言う年金を受給できる可能性もあるのです。
このページでは、寡婦年金について、概略を確認しておきましょう。
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寡婦年金とは
寡婦年金をもらうには、具体的には、次のような要件を満たす必要があります。
- 国民年金の第1号被保険者として25年以上保険料を納めている事(保険料の免除を受けた期間も含みます)
- 妻とは10年以上の婚姻関係がある事(事実婚も含みます)
この他に、当然ですが、遺族基礎年金を受給していない事と言うのも入ります。これらの条件を読むと分かるように、誰でも貰えるという年金ではありません。条件としては意外と厳しいと言って良いでしょう。
ちなみに、寡婦年金を受給できるのは、妻が60歳から65歳になるまでの期間に限ります。つまり、最大でも5年分しか受給できないわけです。
年金額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3という事です。ということは、夫が何年第1号被保険者だったかで金額がだいぶ異なることになるわけです。
ほかの年金との関係に注意が必要
寡婦年金で注意が必要なのが、ほかの公的年金との兼ね合いです。
まず、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金をもらう場合は、寡婦年金は受給できません。夫が亡くなった時に既に需給を開始していれば選択の余地は無いのですが、そうでない場合はどちらか選ばないといけないわけです。
あるいは、亡くなった夫が障害基礎年金の受給権者であった場合や、老齢基礎年金を受けたことがある場合も支給されません。
さらに言うと、死亡一時金と寡婦年金は、どちらか一方しかもらえません。もらえる金額としては寡婦年金の方が大きい事が多いので、寡婦年金をもらえる人は死亡一時金の手続きをしないように注意が必要なわけです。
このように、寡婦年金は色々と制約が多いのも事実です。自分が該当しそうな場合には、相談してみるのがいいかもしれませんね。
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